弓を大きく開き、スムーズに矢を離すために、「取りかけの構造」を学ぶようにしましょう。弽には、四つ弽と三つ弽があります。
二つの弽で取り懸けの仕方が微妙に違います。手首の向け方出会ったり、親指の向きであったり・・・。今回は、その特徴をおさえつつ、スムーズに矢を離すために必要なことを解説していきます。
三つ弽と四つ弽の特徴と親指の向きと、指から考える
三つ弽は当たりやすい、は四つ弽は引きやすい
初に、4つがけと3つがけの特徴をまとめておきます
四つ弽
・親指が下に向く、薬指で親指を取り懸ける
・弓を引きやすくなる
三つ弽
・親指が真っ直ぐに向く。中指で親指を取り懸ける
・矢が真っ直ぐに飛びやすい
大きな特徴は会のときに親指の向きと使う指の数ですね。親指の向きは四つがけは下向き、三つ弽は地面とほぼ平行になります。昔の弓道の本には、「十文字のかけ」と「一文字のかけ」と表現されることがあって、十文字は四つ弽、一文字は3つ弽です。これは、会に入った時に、親指と弦で十文字の形に交わるために四つ弽は十文字、親指が弦と十文字にならず、親指が一文字の形をするので、三つ弽は一文字のかけと言えます。
そして、この特徴ゆえに「三つは当たりやすい、四つは引きやすい」弽となります。
三つ弽は離れた時に、親指が的方向に向きやすいために、矢への直進性が高いです。親指が真っ直ぐに向くと、弦を離すときに余計なねじれがないからです。一方、四つ弽の場合、親指が下に、物によっては内側に向きすぎる場合もあります。
このため、矢を放つときに親指が真っ直ぐに向かないことがあります。これによって、弦からはずれるときに手首が不用意に動きすぎて、矢が真っ直ぐに飛ばない可能性があります。
さらに、三つがけは「形を早く覚えられて取り入れやすい」です。
三つがけは親指を支える指が少ないために、動作に取り入れやすくて弦も外しやすいです。最悪、中指の力を抜いて伸ばせば弦がはずれますからね。しかし、四つがけの場合、親指を支える指が多いため、最初は離れを出しにくく感じます。
そのため、ヨツがけの中には、「三つがけっぽく四つがけ」を引くタイプもあります。
ただ、このタイプのゆがけは引くのがめっちゃ難しい!力が入って矢の長さ一杯引けないことが起こります。
今日の弓道の世界は四つがけユーザーが少ないです。理由はミつがけから四つに変えてやっぱりやめた人の話を聞くと
「僕には合いませんでした」
と話します。そうなんですよ、三つがけの感覚で慣れてしまうとどうしても四つがけに違和感があったり離れが出しにくかったりします。
しかし、四つ弽には「弓を引きやすくなる」というメリットがあります。
三つがけでは、中指で親指を後ろに押していきますが、四つがけの場合は、親指を後方に押していくときに二本指(中指、薬指)が使えます。この分弓を押しやすくなります。25キロ以上の強い弓を使うときは四つがけに変えた方が良いのも、弓を引くために使う指が一本増えるからです。
例えば、三つがけユーザーで弓を大きく引けない女性がいたとすると、三つがけでは、力が足りていないからかもしれません。あるいは、三つがけで引いていて、どうしても手先に力が入っちゃう人は、中指一本で引く力を引き出せてない可能性があります。こういう場合、四つがけを使えば問題解決します。
弓を引くための指が増えるということは、いわゆる「今よりも少ない力で弓を引くことができる」ことを指します。つまり、三つがけよりも四つがけの方が指や手首の力が抜けるため、離れが出しやすいです。こう考えられて、この感覚が得られる人は四つがけに向いているといえます。
私自身三つがけから四つがけに変えた理由は「引きやすくなったから」です。やはり、数多く矢数をかけるためには指や手首に必要以上に力を入れずに取りかけしたいもの。そこで四つがけは弓を引いている最中に使える指が多くなるためその分楽!。ガンガンに引けちゃうんですよね。
そのため、四つがけ、みつがけの特徴をもう少し詳しく書くと
三つがけ
メリット
・取りかけるときに親指の向きが真っ直ぐにそろうので、矢の直進性が高い
・初心者の方でも、早めに覚えやすく、慣れやすい
デメリット
弓を力強く引込めない、大きく引けない女性や、手先に力が入る方は中指だけでは引く力を大きく引き出せてない可能性がある
四つがけ
メリット
・弓を引くために使う指が増えるため、弓が引きやすい
・少ない力で弓を引けるようになるために指や手首の力みを減らせる
デメリット
・最初は慣れるのに少し時間がかかる、離れが出しにくく感じる
こういう特徴を抑えつつ、三つがけ、四つがけともに慣れてみてください。
三つ弽と四つ弽での取り懸けの違いを解説
次に、四つ弽と三つ弽の違いを理解しつつ、取り懸けの仕方を学びましょう。
四つがけは少し下向きに、三つがけは真っ直ぐに
四つ弽は三つ弽に比べて最初から親指が下にむいています。そのため、四つ弽は親指を下に向けるように、三つ弽は親指を真っ直ぐに向けるようにしましょう。
次に四つがけは薬指の第一関節が親指に乗るように、三つがけは中指の第ニから根本で取りかけるようにしましょう。
このように取り懸けすれば、両方とも弓を引けるようになります。
三つ弽の注意点:手首を曲げないでください
手首曲げると滅びます
たまにですが、連盟の先生に手首の力を抜いてくださいと言われて、右手首を下に垂らすように指導を受けることがあると思いますが、これはやめてください。三つがけでこのように手首を曲げてしまうと、指に力をこめにくくなって引き分けが小さくなります。
そのため、離れがゆるんでしまい、矢が真っ直ぐに飛びません。
それだけでなく、手首を下に曲げると、そのまま手首が曲がったまま引き分け動作が続いてしまう可能性があります。せっかく三つがけは、「親指を真っ直ぐに向けて矢を真っ直ぐに出しやすい」という特徴があるのに、この良さを発揮できなくなります。的中率を下げる要因につながりかねないので、避けたほうがよいでしょう。
そのため、弓道教本では取りかけの説明は
「手首が曲がらぬようにすること(これを懸け口十文字という)」と記載があります。
参考:「弓道教本一巻 P110」
これは、三つがけにおける、しっかり引いて真っ直ぐ矢を離すための基礎を説いたものです。この内容に従うようにしましょう。
ただ、四つがけの場合は、手首を下に垂らす引き方は行っても差し障りありません。四つがけの場合、手首の力を抜いても、そこまで手首の向きが下向きに変わらないからです。後、弓を引きときに指を二本使うので、手首の力を抜いてても大きく引けます。
四つ弽の注意点:最初なれないうちは親指の向きとひもの結び方を変えよう
3つ弽のままで使おうとするとなかなかうまく行かない
四つがけに初めて変えたときに、いくつか問題が起こる場合があります。例えば、
うまく引けない
矢こぼれが多い
離れが出しにくい
などです。こういう問題が起こった場合、少しだけ親指を下に向けるようにすると良いです。
先程、三つがけでは、手首を真っ直ぐに向けたほうがよいと解説しました。基本的にはヨツがけも同じです。しかし、よつがけが買いたてホヤホヤの場合、この取りかけの仕方のせいでかえって弓を引きにくく感じる場合があります。
まず、手首を真っ直ぐにしようとすると、薬指が乗せにくいと感じる場合があります。これは四つがけの親指の向きが下に向いているのに関わらず、無理して上に上げようとするからです。そうするとかえって指が力みます。
あくまで薬指が親指にうまく乗らないと弓を楽に引けないので、少し親指を下に向けましょう。これで薬指は親指に乗せやすくなります。
次に離れが出しにくく感じる場合、これは中指が薬指に乗る場所が間違えていることで起こります。おそらく、力が入って中指でも直接親指を押さえつけるように握っている可能性があります。その場合、離れが出しにくくなります。この場合は、薬指の上に中指が乗るように取りかけましょう。
なお、この2つの方法がどうしてもやりずらい場合、最初はゆがけの紐を緩めて行うと良いです。紐をゆるめると親指が動かしやすくなります。これで薬指と親指とをしっかり乗せて取り懸けるようにすれば、弓を引きやすくなります。
ちなみに、紐をゆるめると手首とゆがけの間が空きすぎてみっともないと考える人もいるかもしれません。基本的に使い続ければ親指が動きやすくなり、しっかり紐を締めても引けるようになります。そのため、最初は紐をゆるめて形を慣らして、後で少しずつ締めていくようにすれば問題ありません。
以上の内容を理解することで、四つ弽も三つ弽も負担なく使えます。実践してみましょう♪