打起:5つの理想の手の内と取り懸けを作り上げる方法を解説

 

 

なぜ、5つも手の内、取り懸けがあるのかについて解説していきます。

良い姿勢になるほど、相応して取り懸けと手の内の状態が変わる

という意味です。

一つの答えとなるような取り懸け、手の内はありません。左右の拳の状態は、あなたの姿勢が良くなるほど良い方向に変わっていき、その時の左右の手にかかる弓の圧力の状態や感覚は変わります。

その変わっていくプロセスを解説したのが5つの手の内、取り懸けです。では、どのように変わっていくのかについて、5つの内容をまとめてから解説します。

◼️斜面の構えでは、手の内、取り懸けの形が決まってから、打起に入る

と言うことを頭に入れておきましょう。

つまり、斜面打起の場合は、弓をあげている最中に手の内と取り懸けが決まります。今日の正面打起しの場合は、大三で手の内が決まります。

決して、弓構えの段階で左指を揃えたり、手の内十文字を作ろうとしないでください。それらの教えは斜面打起の内容であって、正面で行うものではないからです。

その次に、5つの手の内、取り懸けの状態をまとめてみましょう。

5つの手の内と取り懸けの内容をまとめる

とこうなります。

手の内

鵜の首・・人差し指、中指、親指の三箇所をもって弓を押していく

鸞中・・・親指、薬指、小指の三箇所をもって弓を押す

三毒・・・人差し指と親指の間が広がり、小指と薬指が締まるように弓を押す

骨法陸・・腕全体を眺めるようにみて、陸を眺めるかのような状態で見る

呼立・・・何にもとらわれず、無心で軽く握れている状態で押す

取り懸け

一文字・・・少し手首を起こすように内に捻って引く

十文字・・・手首を起こすようにし、外に回して引く

弦搦・・・・弦を親指にしっかりかけて、拳を締めるようにする

深浅・・・・指の深いところに弦をかけて、浅い意識でも右手を動かせるようにする

弦計・・・・弓力を計るフックのように、弦を引っ掛けるように右手の力みを抜く

これらの内容は、弓術書の後半の文章を見ると記載されています。

次に、この5つ手の内取り懸けで「力が入る指と場所」をまとめましょう。すると、手の内と取り懸けの内容が順番と力が入る場所が同じであることがわかります。

鵜の首ー一文字懸  親指、人差し指、中指

鸞中ー十文字    親指、薬指、小指

三毒ー弦搦     親指と人差し指の間は開き、薬指小指は締まる

骨法陸ー深浅    腕全体で押す、開いている感覚になる

呼立ー弦計    拳自体に力みも意識もない状態

そして、もう少し掘り下げてみると

下に行くほど

1 まず、手のひらの上部に力が入る

2 次に、上部の力が少なくなって手のひらの下部側に力が入る

3 最終的に拳の力みが減って腕全体に意識

ということがわかります。これは何を意味するでしょうか?答えは至ったシンプルです。体の伸び具合と、手の内取り懸けが対応していることがわかります。

全身が伸びるほど、手の内取り懸けの段階とレベルが変わる

上から下を見てみると、拳に力が入る場所が上から下に移り、最終的にその力みがなくなっています。これは、「あなたが腕と拳を弓の中で伸びれるほど、その時にかかる拳の力みは減っていく」ことを指しています。

このことを詳しく説明するために、人は「体の下部の筋肉を使うほど、左右にのびれる」ことを体感する必要があります。ちょっと簡単にこのことを解説します。

まず、肩はばに立って、自分の腕を前に伸ばしてみましょう。この時、左右の腕どちらでも構いません。いずれかの腕を前に伸ばし切ったら、その時の拳の位置を覚えておきましょう。

その位置を覚えていただいたら、次に「小指側を意識して伸ばす」ように腕を伸ばしてみてください。先ほどよりも、小指側の方を持ち上げるようにして腕を伸ばします。

すると、先ほどより腕の筋肉が伸びているのがわかりませんか?普通に伸ばすより、小指側を意識して伸ばす方が腕が伸びるのです。

さらに、伸ばそうとするためには、小指側ではなく、脇下から上腕の裏側を意識して伸ばそうとしてください。すると、拳の力が抜けて、さらに腕がのびれます。

その時に、弓にかかる圧力を確かめてみましょう。すると、

1普通に伸ばした時は、拳の上部に弓の圧力がかかる

2さらに腕がのびている時は、拳の下部に弓の圧力がかかる

3さらにさらに腕が伸びると、拳の上部、下部でもなく、腕全体に弓の圧力がかかる

4最終的に拳自体に弓の圧力や意識が少なくなる

ことがわかります。

つまり、先ほどの手の内と腕ののび具合が対応していることがよくわかります。このことを理解すると、5つの手の内と取り懸けの内容がよくわかります。

 

まず、普通に伸ばそうと意識して「鵜の首」のように力が入る

両腕の力みを自分なりに抜いて、左腕を伸ばしてみましょう。おそらく、人差し指ー中指ー親指あたりに力がかかると思います。右手は人差し指と中指に力が入ります。そうすると、右手首が少し内むきになり、一文字の懸けになります。

さらに腕を伸ばすと「鸞中」のように力が入る

次に、さらに腕の筋肉を伸ばすように意識してみましょう。おそらく、拳の上部の力みが抜けてきて、拳の下部の方に

さらに、両腕を伸ばすと下部に圧力が集中し、上部の圧力が低下する

さらに、腕の筋肉を伸ばし続けるようにしてください。より拳の下部に集中して、上部の筋肉が開き、圧力が低下します。これが、「三毒」の手の内の状態です。

両腕を伸ばし切ると、内部の骨に圧力がかかるようになる

さらに、両腕を伸ばし続けるようにしてください。腕全体に弓の圧力がかかるようになり、腕全体を意識できます。その時、一部の筋肉ではなく、全体的に内部の骨を意識しているように感じられます。

その時、腕全体を観察すると、まさに陸や広い地を見渡すような感覚を得られます。これが「骨法陸」と言います。腕全体の筋肉を伸ばして、内部の骨で弓の圧力を支えるように押すのが「骨法」と言います。さらに、その様子を1箇所ではなく、腕全体で眺めるように押せている状態を「陸を見渡すように」と表現され、骨法陸と表現されます。

腕と拳に何も意識がなければ「呼立」の手の内になる

そして、腕と拳の筋肉が伸ばしきられ、弓の圧力にもとらわれがなくなり、左手自体に意識が消えれば、「呼立」になります。赤ちゃんがふと立ち上がって何か物を掴んだ時の様子を、この手の内の名前に表現されています。

このように、うちおこしではまだまだ私たちの体は伸ばせます。首、肩、胸、上腕、前腕、手首、指、全ての筋肉の無駄な力みを抜いて、八節で腕を伸ばし続けてください。すると、左手にかかる弓の圧力が「上部でしっかり受ける→下部に移る

→より下部に集中する

→腕全体に分散してかかる

→左手に無意識な状態で弓を押せる

となります。

🔳取りかけも手の内と同様に、5段階でレベルが上がっていく

なお、取りかけも同様に、手の内の時にかかった圧力のように、弦にかかる圧力が変わっていきます。

まず、人差指と中指で親指を押さえるように取りかけの形を作ります。この状態で弦を引くと、人差し指と中指にしっかり力がかかり、少し右手首が内側に向きます。すると、取りかけで下方向に向いていた親指が上に向くようになり、地面と一直線に並行に揃います。これが一文字の取りかけです。

次に、もう少し右手首で小指側を伸ばしてみるようにしましょう。この状態で弦を引くと、右手の下部の方に圧力がかかるようになります。さらに、右手首が外に向くようになります。すると、弦と親指の向きが十文字に交わり、十文字の取り懸が完成します。

さらに小指と薬指を伸ばすようにしましょう。すると、前腕と上腕の筋肉も伸びるようになります。この状態で弦を引っ張ると「手で弦を引っ張るより、肘から弦を引っ掛けているような感覚を得られます。

この時、右手親指にしっかり弦がかかるようになり、まるで弦を掴むのではなく、絡んでいる感覚を得られます。これを弦が搦んでいるというう状態で「弦搦」に状態になります。

そして、さらに腕を伸ばし続けて、見てください。この状態で弦を引っ張ると、右手親指ではなく、前腕や上腕に弦の圧力を感じられるようになります。

 

◼️各手の内と取り懸けで力が入る指の部位

をまとめましょう。するとこのようになります。

この五つを並べると、力が入る場所が、

拳の上部から下部に移る

拳への圧力が減って腕の方にかかる

最終的に拳自体に圧力を感じない状態になる

と言うのがわかります。

つまり、この五つの手の内、取り懸けは何か関連することがあると言えます。それが、

 

◼️あなたの体が伸びれば伸びるほど、手の内取り懸けの段階が変わる。

と言うことです。

よく見ると、こう言うことがわかります。

1.全身を伸ばさないで、普通に弓を押すと弓の圧力は上部に残る

2.少し全身を伸ばして弓を押すと、拳の上部の弓の圧力は軽減して、下部に圧力がかかるようになる

3.

◼️相応の懸、手の内とは、「あなたの体の伸び具合」

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