本当に、角見、下筋を効かせる方法

次に、角見・下筋を効かせる方法について解説していきます。

二つの用語の意味を最初に説明すると

角見・・・親指の付け根の部位を指す

下筋・・・左上腕の裏側を指す

そして、効かせるとは、締めて力を働かせることを指します。

この言葉を指す体の場所は間違っておりません。しかし、意味や活用の仕方が今と昔で異なっているため、誤解が起こりやすいです。

その理由を整理し、適切な角見と下筋の働かせ方を解説します。

効かせるの言葉の意味

大工の世界で、柱や材料の揺れを防ぐために隙間をふさぐ「楔」という道具があります。板や角のような形状をしており、隙間に差し込むようにして打ち付けます。

その楔を打ち付けると「カンカン」と音がなってきますが、その音が高くなっていると楔がしっかりはまったことがわかります。

このとき、「楔が効いている」と言われます。

このことを前提に、手の内における角見・下筋を効かせるという意味を解説します。

弓を構えるときに、まず親指の付け根の筋肉を極力緩めます。

そして、大きく弓を引いていくと、弓の圧力が親指付け根にかかります。柔らかくその圧力を受けながらも引き続けていきます。

やがて、矢の長さいっぱいに引くと、弓の圧力が親指付け根に最大限にかかります。

この弓の圧力によって、親指付け根の位置は締まって、左手が安定します。

この力を受けている感覚を「効いている」といいます。

この時、効いているかは「第二関節の骨」が浮き出ているかで判断します。

弓の圧力が親指付け根に強くかかると、第二関節の骨が浮き出てきます。

この骨は、弓の圧力が親指の付け根にかかるほど浮き出ます。最大限に角が浮き出ることで、親指付け根が締まっていると判断します。

次に、「間違った角見を効かせる」をご紹介します。自分から親指の付け根を押し込むようにする手の内です。

弓を握って押して、親指の付け根を弓に押し込んでみてください。親指の付け根が固くなり過ぎて、左手に力が入ってしまいます。

この場合、親指第二関節の骨は多少は浮き出ます。しかし、最大限に上に浮き出ません。

実際に行うとわかりますが、角の位置が少し下に下がるようになります。

この状態は、決して親指の位置が安定しているとは言えません。締めて安定しているのではなく、親指の付け根に負担をかけているだけです。

左拳がぐらつくのを筋力を固めて固定しています。

この状態では、心を落ちついた状態で矢を放つことはできません。

下筋を効かせる、張るという言葉も同様です。

適切な「下筋を効かせる」は、弓構えで上腕の筋肉を緩めておき、弓の圧力を柔らかく受けることです。

間違った「下筋を効かせる」は、会に入ったときに、左上腕付け根を自分で動かし、自ら上腕に力みを増やすことです。

このようなことを行うと、余計に腕の付け根、肩に力みが入り、姿勢が崩れやすくなります。

正しい教えを実行しようとするほど、射型が崩れていきます。意識の仕方を間違えないようにしましょう。

そもそも

なぜ、親指付け根は大切なのか?

を理解すれば、親指で押し込まない方が良い理由をスッキリ理解できます。

矢の長さいっぱいに引けば、結果的に親指付け根の筋肉に弓の圧力が集中するからです

だからこそ誤解されやすいです。

正しい角見の効き方は、弓力を親指付け根で受けていますが、その感覚が異なります。

一般的に、弓は「人差し指の付け根」「親指の付け根」「小指の付け根」の三点で支えます。

この三点で弓を支えると、弓は左手の中で安定します。三点で支える=手の内が安定すると理解してください。

その中で、人差し指と小指の付け根には弓の圧力を感じにくいです。この二つの部位は手の甲に近い部位に位置しているからです。

人の拳は、掌より手の甲に骨が集中しています。つまり、親指側には筋肉が多く、人差し指と小指側には骨が多いとわかります。

矢番動作で二本の矢を指で支えるとき、二本の矢と弓を支えようとしすぎてしまい、親指付け根が凝る場合があります。

しかし、人差指と小指の付け根が凝るといった話は聞いたことはありません。

これは、人間の手の中で、親指付け根にある筋肉は太く、人差指と小指側は骨が密集しているからです。

だから、三箇所の中で親指が最も弓の圧力を感じやすい場所とわかります。

この関係を理解すると、正しい角見の状態を間違っているものと区別できます。

矢の長さいっぱいに引けば、体と弓の距離は近くなります。つまり、弓をより手の中で外側に動かす必要があります。

すると、より人差し指と小指側に弓は寄ります。

しかし、人差し指、小指の付け根は骨が集中しているため、弓の圧力を感じにくいです。

結果的に、親指の付け根に圧力が残ります。しかし、三点で支えているので、楽に親指の付け根で弓の圧力を受けることができます。

この感覚を「受けて押す」「親指の綿所で押す」「弓の押しを受け請ける感覚」などと表現されます。

どの言葉にも、押し込むような圧迫感ではなく、バネのような弾力を感じているような解説とわかります。

あるいは、親指付け根の圧力を減らし、骨が多い人差し指と小指側に弓の圧力をかけることで「骨で押す」「骨法」とも表現されます。

一方、矢の長さいっぱい引かなかったとします。こうすると体と弓との距離は遠くなって、弓は親指の方向に寄りやすくなります。

これでも、親指付け根に圧力はかかります。しかし、人差し指と小指の付け根で弓を支えていないために、掌全体で楽に弓の圧力を受けられません。

だから、親指の付け根に圧力がかかるほど、掌全体の安定性が低下します。

さらに、親指を押し込むように意識したとします。より親指付け根にかかる圧力が強くなって、人差し指と小指付根側に圧力がかかりにくくなります。

つまり、後者は親指付け根に弓力を感じた受け方でも、不安定です。

このために、「角見」は親指付け根を押し込むのではなく、大きく引いた結果、親指付け根に力が集まるように引くと解釈することが自然とわかります。

具体的な角見・下筋の効かせ方

ここで、もう少し角見を負担なく効かせるための具体的な方法をお伝えします。

・「手の内十文字」を意識して、親指を弓に垂直に当てるのをやめる

親指を弓に対して垂直に向けようとすると、左親指を必要以上に下に向けないといけないため、左親指付け根に力が入ります。

ある程度弓を引けて、弓矢の操作になれて、胸筋の柔軟性が高くなってから、親指を下向きにして弓を当てるようにしましょう。

弓構えで「肘を張る」のを意識して、肘を上につり上げるような動作をやめる

肘を張って釣り上げてしまうと、肩の上部に力が入ってしまいます。肩に力が入ると、連動して左親指付け根に力が入ります。

まだ、弓の圧力がかかっていない段階で、親指付け根をパンパンに張らせてはいけません。

これらをやめると、弓構えで腕の力みがとれます。

大三で左手をかなり押し回しやすくなり、左腕で押していけるのがわかります。

親指付け根の筋肉を緩めてから弓を引くと「受けて押している」感覚を得られます。反対に、自分から突っ込むようにすると、「親指付け根をパンパンに張る」感覚になります。

自分から親指を突っ込むと、ただ親指付け根が力むだけで、その後の離れ動作でさらに強く親指を伸ばせません。

離れで腕を最大限伸ばすのであれば、会で親指を突っ込みすぎてはいけません。

次に、

角見・下筋の効いていたか確認する方法

を2つ解説します。

1つ目は、離れた後にわかります。

離れた後に、弓をより的方向に親指が突っ込むように伸びれば「角見が最後まで効いて」います。左上腕筋肉が伸びれば、「下筋が張ります」。

もし、間違った付け根の受け方をしていると、離れで左親指・下筋が伸びません。

もう一つ、引いている最中にわかります。

もし、弓の圧力を親指付け根でしっかり受ければ、会の時に左前腕上部が柔らかくなります。

誰かに弓を引く前に、前腕の上部に手を当ててもらいます。

良い角見は、弓の圧力を左手で受けると、前腕上部が柔らかくなります。

これは、弓の圧力は筋肉の密度が多い親指側ではなく、骨の密度が多い人差し指と小指側に集まっているからです。前腕の筋肉に負担が減っているとわかります。

反対に、自分から親指付け根を突っ込もうとすると、会に入って左親指上部が硬くなり、左前腕上部に力が入ります。

間違った角見を実践した結果、親指付け根に弓の圧力が集中しすぎてしまい、「左手」「左腕」「左肩」といった部分に力みが出ている証拠です。

つまりはこういうことです。

良い角見は、弓の圧力が親指付け根にかかっているけど、関連する前腕の筋肉が緩んでいます。

腕は緩いけど、押す力が発動しています。

反対に、間違った角見は自分の親指付け根に比例して、前腕の筋肉も固まっていきます。

力んでいるだけで押せていない。

弓のkg数が強くなりすぎると、親指付け根で弓の圧力を受けていても、前腕が固くなるかもしれません。しかし、続けていけば、前腕の筋肉が柔らかくなっていきます。

ひどい場合、高齢の方は左肩が痛くなったり、左親指付け根の慢性的な痛みを患ったりします。実際に、このような間違った指導で怪我が出た事例は多数あります。

弓を引き切っている途中で、自分で弓を押し込んだら怪我をします。離れた後に弓と一緒に左腕を伸ばして、押し切るのが正しい働かせ方です。

最後に強く押せて伸びる左腕を意識するようにしましょう。途中で意識的に押しこんでも意味がありません。

そのためには、左親指付け根は押し込むのではなく、結果的に弓の圧力が集まるように受けて押すようにします。それは、下筋を働かせるときにも同様です。

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