物見を入れる本当の意味

弓構えの動作の中には「物見」があります。物見動作も体の仕組みを考えると、弓を引きやすくする利点がいくつかあります。

「え、物見は狙いを定めるためにあるのでは?」と思ってる場合、そうではないんです!首の向け方をきちんとすると適切な姿勢を保って弓を引きやすくなるのです。

今回は、一層弓を引きやすくする首の向け方、またそれを行うための注意点を解説していきます。

物見を入れると左腕が伸び、右腕を曲げやすくなる

人が首を一方に向けると、腕に影響することがわかります。首を向けた方の腕が伸ばしやすく、逆側の腕が曲げやすくなるのです。

両腕を伸ばした状態で、首を左に向けてみましょう。すると、左腕がもう1,2,センチ伸ばせるのが体感できます。この原理を応用すると、さらに弓を押しやすくなります。

それだけではなく、物見を行うと、姿勢が崩れにくくなります。首を向けると、右肩関節が動きにくくなります。

弓を引くとき、左腕が突っ張って、左胸が前方に出てしまうことがあります。これは、見方を変えると、右肩が後方に引けることによって、左胸が出ているとも解釈できます。つまり、右肩が後ろに引けるのを防止すれば、左胸が突っ張った窮屈な引き方から開放されます。

そこで、物見を入れるようにします。首を左に向けると、右肩が少し前方に巻かれるようになります。これによって右肩が後ろに引かれにくくなるのです。

顔を的方向にしっかり向けることで、右肩関節の安定性が強くなることです。面白いのですが、顔を左に向けると、右側脇下の筋肉が張ります。これで、右肩関節が後ろに引けるのを抑えられます

首の側面には、「胸鎖乳突筋」と呼ばれる筋肉があります。この筋肉は喉ぼとけから鎖骨にかけてつながっている筋肉です。もし、顔を左に向けると、右側の胸鎖乳突筋が引かれて、肩関節が前方にでます。すると、右側の鎖骨が後ろに引かれにくくなることで、右肩根の受けが強くなります。つまり、的方向に顔を向けることは、身体の仕組みから、押手や右肩関節の安定性に関係していることがわかります。

物見の注意点

ただ、物見動作を考えるときに、注意しなければいけないことがあります。いくつかご紹介します。

左に傾かない

顔を向けるときに、顔が左に傾くことを「物見が照る」といいます。顔を的方向に入れるときに照ることが多いので、気をつけるようにしてください。

これは、足踏みで拇指球に体重を乗せすぎると起こります。つま先に体重を乗せると、骨盤が前に傾き、腰が反って胸が張るため、頭が後ろに傾きます。物見の照りは足踏みで拇指球に体重を乗せるのをやめれば、解消できます。

もし、頭が左に傾くと、左右の耳の位置にズレが生じます。すると、耳に司る身体の平衡感覚の働きが悪くなり、胴造りが安定しにくくなります。あるいは、目線の位置が変わってしまい、ねらい目に影響が出ます。

物見はとても重要です。射位から26メートルあります。眼の位置が変わることが、どれだけ狙いに影響が出てしまうか容易に想像できると思います。物見動作で動かす頭部は、あらゆる感覚器(耳・眼・鼻・口)があり、位置がずれてしまうと、姿勢や次の動作に悪い影響が出ます。

的を見すぎない

次に、的を見るときはガン見しないようにしてください。的を見すぎると姿勢が崩れ、矢が真っ直ぐに飛ばなくなります。

理由は、的を見ようとすると、右肩関節が前にでるからです。

例えば、的をしっかり見ようとすると、体を的に対して正面に向けて両目で見るようになります。これと同じことが実際の射でも起こります。的をしっかり見ようとすると、右肩関節が前に出て、胸部が的方向に向き、胴造りの肩の線が平行に揃わなくなります。

すると、2つの問題「首の後ろの筋肉が縮む」「左肩関節」の筋肉が縮みます。顔を向けて、頭部がちょっと前に出てきたら危険のサインです。姿勢を正すように意識しましょう。

このときの対策法は2つあります。1つ目は右肩が前に出ないようにすることです。

一度、両腕を外側に回して胸を開くように意識してください。こうすると、両肩が開きます。この状態で顔を向ければおそらく右肩が前に引かれすぎる問題は解消できます。これで右肩前に出すぎる問題が解消されます。

次の眼の見方です。半分だけ目を開けて、ぼんやり見るようにしましょう。眼をカット開いた状態にすると、眼の奥の筋肉が過剰に働きすぎてしまい、首の後ろの筋肉がちぢむからです。眼の奥の筋肉は首の後ろの筋肉と解剖学的つながりのあり、一緒に縮みます。首や背中、肩の筋肉も緊張しますので、眼球に力を入れないようにしましょう。

ちなみに、目をぼんやり見ると、自分の姿勢の崩れがよくわかるようになります。目をぼんやり開けると、頭部が前や後ろに傾いていないかよくわかるようになるので確認してみましょう。

以上の内容を理解すると、姿勢が崩れることなく首を的方向に向けることができます。両肩を開いてから顔を的方向に向ける。目をぼんやり薄目で見る。これをするだけで姿勢が崩れにくく、かつ押しやすく引きやすい射型を構築できます。ぜひ、実践してみてください。

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