正しい弓道教本:足踏み

さぁ、足踏みの内容をきちんと正しい文献も交えて、読んでいきましょう。やるべきことは一つと意識してください。

足踏みで行うことは三つだけです

・意識的に広く踏む

・太ももを外側に回す

・踵に体重を乗せる

この三つを行ってください。弓をよく引けるようになり、教本の文章の内容を正しく読めるようになります。

これは、足踏みを行う意義から考えていくと、この考えに至ります。

・足踏みで行う意義はなにか?

・そのためには、何を行うべきか?

・それは、教本の先生も同様のことを解説されているか?

この三つに焦点を当てて、足踏みの内容を深く、さらに深く理解するようにしてください。

足踏みは、姿勢を安定させて弓を引きやすくするための動作

教本には、「足踏みは基礎となるから重要だ」「重要となる第一基底である」と言いますが、

うん、それはわかった。で、具体的に何がどう大事なのということは記されていません。

どっちなのよ・・・

うーん、はっきりしてって感じですよね。

では、はっきり言いましょうか。シンプルにいうと、足踏みは

姿勢を安定させ、弓を引きやすくするため

に大切です。

そのためには、やることは決まっています。

広めに踏む

これだけです。広めに踏みましょう!なぜなら、これで姿勢を安定させて弓を引きやすくなるからです。広く踏むと

足踏み広く踏むとより姿勢が安定します

広く踏むと、腰の重心が地面に近づきます。よって姿勢はブレにくくなります。

弓を引いていて姿勢が

左右の肩の位置がずれる、腰が前後にブレるなどがありますが、

足踏みを広く踏めば、この問題消えます。

足踏みを広くふんだら腰だけでなく、肩も下がります。これで左右のぶれも少なくなります。

さらに、腰も下がって腰自体のぶれが少なくなります。

要するに「上半身がブレる」と嫌ですよね。

その問題、広い足踏みで解決できます。

広い足踏みは弓を引きやすくする

広く足踏みを踏むと、太ももの内側についている「内転筋」が伸ばされます。

ここが伸びると、肩甲骨を左右に伸ばしやすくなる

のが解剖学的にわかっています。

つまり、両腕を左右の方向に伸ばしやすくなります。

なぜか?内転筋が伸びると、肩甲骨と背中の間にある「菱形筋(りょうけいきん)」が連動して、伸ばされます。

これにより、肩甲骨が外側に開き、両腕を伸ばしやすくなります。

自分の力で弓を開こうとすると、肩に力が入りやすくなりますよね。

でも、広く足踏みをすると、自分で意識せずとも両腕を伸ばしやすくなります。

だから、足踏みを広くした方が有利です。

姿勢、的中、射型の安定。全てについて

初めて人、的中率伸ばしたい人に共通して言えるのが、

広い足踏みに慣れると、弓を引くのに好都合

というです。

広い足踏みは続けるとなれて来ます。内腿の柔軟性が向上して、足を開くのが楽になるからです。

逆に、足を開くのを止めると、「狭い足踏み」しか踏めなくなります。

すると、上半身がブレやすい姿勢でしか弓を引けなくなります。

高齢で内転筋が衰え半端ないなら、狭い足踏みで仕方ありません。

しかし、そうでなければ、脚を広く踏んで脚を効果的に射の動作に活用した方が十分増しです。

さらに、

広く足踏みを踏むと、足裏がぴったりつく

ようになります。これはわかりやすいですね。

実際に足踏みを広めに踏むと、体重が下半身にずしんと乗るのが体感できますね。腰が地面により近くから。

弓を引いている最中に姿勢が崩れてしまう根本原因は上半身のブレですよね。

この上半身のブレを防ぐのは、「上半身をしっかり下半身に乗せる事」が大切です。

このあと読む教本の文章には、足裏全体に体重を載せることを良いと解説する先生、たくさんいます。

教本の文章を真似て、しっかり足裏に体重を乗せましょう!広い足踏みで

しかし、

このままでは一つ問題が起こります。

広く足踏みは、前屈み姿勢になりやすいのです。

広く足を踏んで、内側に体重が乗りやすく、骨盤が前傾気味になります。

このままでは、体が前に倒れてしまう可能性があります。この身体が前に倒れやすい問題を解消すべきです。

そのためには、

踵に体重をのせて、太ももを外側に回す

ことを意識しましょう。広く足踏みを踏んだら、

踵に意識的に体重をのせて、太腿を外側に回します。軽く膝を曲げても問題ないです。太ももを外側に回してみてください。

すると、骨盤が立って姿勢を保持しやすくなると思います。

そうすると、足裏全体に体重が乗せられるようになります。

ただ、「ぴったり足裏に体重が乗る」のではなく、「ふんわりぴったり足裏に体重」が乗ります。

これで、足踏みの目的は完了です。

より上半身の姿勢が安定し、引きやすくする構えとして足踏みは大切です。

そのためには、広く踏め、太腿を外側に回れ、こうすることで、上半身が前に倒れることなく、から姿勢が安定して弓を引けるようになります。

弓道連盟が足踏みが狭く踏ませる理由は綺麗に見せたいから

なお、弓道連盟の世界では、足踏みを広く踏もうとすると

広すぎだ!と口を挟んでくると思います。

なぜ、弓道連盟は足踏みを広く踏みすぎないように指摘したくなるのか。

理由は見た目の問題です。

広く足踏みを踏むと、袴の裾が床についてしまい、みっともないとみられるからです。

この内容は小笠原流の足踏みに由来します。

小笠原流の足踏みでは、狭く踏むことを推奨し、千葉範士(教本二巻、小笠原流を勉強される)も文章として残しています。

弓道連盟は「矢渡し」の時のような射法を理想とし、またそれができるように練習することが稽古と捉えます。

ただ、根拠を持って言いますね。

いきなり礼儀正しい引き方をやっても引けません。

まず、広い足踏みをふみ、十分に身体を使って筋肉を強化してから、狭い足踏みでの射法をするようにしましょう。

そうしないと、

いきなり狭い足踏みで綺麗に引くのは無理

狭い足踏みだけやっていると

・太ももの内側は伸ばされないから、肩甲骨を開けない

・腰の重心はあがるため、上半身がぶれやすい

・足裏に体重がぴったり乗らないため、上半身のぶれが確認し辛い

・脚の踏ん張る力が使えないため、腕と肩が力みやすい

です。つまり、綺麗な射型を作る前に、姿勢や引き方に問題が出て下手になります。

ただ、広く足踏みを踏んで稽古し続ければ、

・ぶれにくい姿勢で弓を引ける

・両腕を伸ばしやすくなる

・射癖にかかりにくくなります

すると、矢数をかければ、射型を整えることができます。その後に、

狭い足踏みでも稽古をする

ようにすれば問題ありません。

狭い足踏みが良いと言って、最初からそれで稽古していたら、ほぼうまくなれません。

最初は、広い足踏みからやりましょう。

一足半程度広めに足をふみ、慣れてきたらより広く踏めるようにしておきましょう。

そうすれば、あなたの肩甲骨は楽にもっと左右に広がりやすくなります。

もっと姿勢はぶれにくくなります。

そうして、射型は綺麗に整います。

そして、この足踏みは、

どのような骨格の人も行うべき

です。

「足踏みは骨格や体格によって適した幅が違うのだから、広さは人それぞれ違っていていいはず。」

と思うかもしれません。

おっしゃるように、各骨格によって適した足踏みの広さは違うでしょう。

でも、その個人がしっくり来る足踏みは、「広い足踏み」をしてからの方が良いです。

自分の引いている時の射型、姿勢ができていないのに、

人によって適切な足幅なんて見つかりますか?

なんとなく、広めに踏んでみたけど、的中率もそんな変わりません。

今度は狭く踏んでみたが、なんとなくしっくり来ない。

そんな経験ありませんか?各骨格に合った適切な足幅と言うのは探すのは困難です。

具体的に何センチの人は足幅何センチにすれば良いのでしょうか?

そもそも、その適切な角度、幅というのは何を持ってどのように判断されるのですか?

何が言いたいかはっきりしない、本質論っぽい話は意味がありません。

その考え方は、あなたの稽古の取り組み方を雑にします。

掃除の仕方や礼儀にはやたらうるさいくせに、「じゃあ弓はどうやって引けばいいんだよ」と言う本質的な問題には触れない。

いざって時に責任が取れない考え方は、無礼より罪。

そんな妄想よりまず先に、

しっかりした姿勢で引くこと

しっかり弓を引ける姿勢を作ること

を優先されるのが適切と言えます。

であれば、広く足を踏めば、解剖学的に「姿勢はしっかり」なり、「しっかり弓を引ける」確率が上がります。

であれば、確率的に引きやすく、ぶれない姿勢が構築されやすい「広い足踏み」をまずされてから、後から「適した足踏み」を探せば良いと判断できます。

その足踏みの本義を飛ばして、「人それぞれ違うから、そうではない」と言うと、そのおっしゃられる「適切な足幅、角度」に一生いきつかなくなります。

弓道は礼とマナーだけで引けません。

身体のことを考えずにただ見た目だけの綺麗を優先したら最悪です。

広い足踏みをすれば、教本の先生の内容は実践できる

では、私の話している内容は特別な内容でしょうか。

そのようなことはなく、教本の先生はみな同じことを推奨されています。

教本二巻の内容を一から見ていきましょう。

千葉範士:大地に体を置く感じが良い。・・・・・部分的に力を入れるのはよくない、足踏みは、床面にピッタリ、ふんわりつくようにするように置く、膝蓋骨も硬くせず、足首関節も硬くせず。(P-61)

床面にぴったりつけるためには広く足踏みをして、腰を下げる必要ありますね。

その上でふんわりもしていないといけません。そのためには、踵に体重をのせて、太腿を外側に回します。

太ももを外側に開けば、膝関節がピンと伸びません。つまり、膝関節が柔らかくなります。それに伴い、足首関節も柔らかくなります。

それを総じて「大地に身体を置く感じ」と言えます。

脚に力が入らず、地面でしっかり脚を踏み締めている感覚を得るためには、広く足踏みをふみ、腰をしっかり落として、体重を乗せる必要があります。

ちなみに、この文章は千葉範士の抜粋した内容ですが、他の内容も読んでみてください。広く足踏みを踏めば、実践できる内容ばかりです。

右足で床面を擦るようにして左足を引き寄せ(P-62)

右足を擦るように足踏みをしたければ、広めに踏んで腰の位置を下げた方がやりやすいです。

柔道の足構えが矢張り部分的に力を入れない構えで(P-63)

柔道の足構えは軽く膝を曲げて腰を下げますよね?弓道でもそれをしたければ、広めに足踏みを踏みましょう。

外部の力に応じえる形をとるので少しも隙もない(P-63)

広く足踏みし、太腿を外側に回してください。腰の位置が下がり、身体も前屈みになりにくくなります。

この状態で前に押されれば、前に身体は動きます。踵に体重をかけてください。踵に体重をのせて、身体の後ろ側に体重を載せれば、後ろから押されてもぶれる事はありません。

左右に押してみてください。足踏みが広ければ、左右の方向にめちゃくちゃ強くなることがわかります。

つまり、広い足踏みをし、太腿を外側に回せば、前後左右に上体がぶれにくくなります。

足指も脚も特に力を入れず、ふんわりとした感じにしておけば、(Pー63)

太腿を外側に回し、体重を踵の方におきましょう。これで、足指にかかる負担は少なくなります。

広い足踏み、太腿外回り、踵荷重の姿勢で千葉範士の文章の内容は全て実践できることがわかったと思います。

次の宇野範士の文章も、広く足踏みを踏めば、行うことができます。

宇野範士:足指を寄せ揃える。「土踏まず」にやや含みを持たせるようにする。中くぼみのゴムが床面に吸い付くようにする(P-64)

床面に吸い付くとは、「足裏をぴったりつける」のと同義ですね。はい、広く足踏みを踏めば、動作が完了します。

宇野範士:膝関節は出っ張らないように、引き込むくらいにピンと脚筋を伸ばし、足の外側から踵にかけて、巻くように緊めれば、安定する。(P-64)

この内容は原文と間違えて記載しています。

この文章は宇野要三郎範士著の「基本体型」の物であり、原文は「脚筋がピンと伸ばす」のではなく、「膝関節が凹むようにする」と記載がされています。

脚の張り方は膝関節の司る役目であるから、両膝の関節が凹むくらいに裏側を張るのであります。

~宇野要三郎範士著「基本体型」より~

この文章の内容は虚偽です。したがって、取り入れてはだめです。

つまり、宇野氏の文章の内容は「足踏み広く、太ももを外側に回す」ようにすればできます。

実際に、膝から踵にかけて巻くように動かすと記載されています。これは、太腿を外側に回すことを解説しています。

浦上範士:日置流では、左はつま先に乗せて、右は踵に力を入れるようにする。こうすれば、上体が前にでた時は、無意識に左つま先、右踵で支え、前後に同様することはない。両膝全体を内方へ締める心持ちが良い。(P-64)

足踏みの体重の置き方は異なりますが、「上体が前後にブレない」ための方法を伝えています。

であれば、足踏み広く、太もも外側に回すをやれば、上体を前後に安定します。

加えて、「両膝を内側に締める」教えは、こう言われると連盟の関係者は、

膝を内側に回すようにするんだ

と思いますよね。これは違います。

なぜなら、浦上範士は、右踵に体重を乗せるように推奨しているからです。右膝を内側に回すと、体重は踵ではなく爪先の方向に動きやすくなります。

したがって、浦上範士の文章の文脈上「両膝を内側に締める心持ち=両太腿を内側に回す」は間違えています。

この文章の言いたい内容は「太腿を外側に回せ」です。

どうして、太腿を外側に回すと、両膝が内側に締まる感覚になるの?太腿を外側に回すと、解剖学的に内腿の筋肉が上方に伸ばされるからです。

太腿を外側に回すと、骨盤が上方に起きるように立ちます。これによって、股の付け根にある「恥骨」が上に引っ張られます。

そこで、恥骨から膝の内側にかけてついている内転筋が引っ張られます。この「引っ張られる感覚」が「両膝を内側に締める感覚」になります。

つまり、浦上範士の言いたい内容は太腿を内側に回すのではありません。逆で、太腿を外側に回すことをさしています。

太腿を外側に回したら、反対に、左足を爪先に置くのが難しくなるのでは?と思うかもしれません。これは解剖学的に十分に可能です。

人の足首の骨とすねの骨をみてみます。すねの骨は足首の骨の上に「やや前より」についています。つまり、力を抜いたら人の身体は前に倒れるようにできています。

それを防ぐために、「ふくらはぎの筋肉」が縮んで身体を支えようとします。ふくらはぎは「抗重力筋」とも言われ、「立つ」姿勢をするために、無意識レベルに縮みます。

つまり、人は力を抜けば、体重は前に動くのです。そのため、太腿を外側に回しながら、足裏の体重を前に置くのは十分できます。

逆に、「踵に体重をのせながら、太腿を内側に回す」事は不可能です。

太腿を内側に回すと、内腿の筋肉が縮んで、骨盤が前に倒れます。すると、身体が前屈みになりすぎてしまい、右足に踵にのせ続けるのが難しくなります。

もし、右足に踵に体重をのせて、内腿を内側に回すと、「膝が曲がりやすく」なります。そうすると、足踏みの「立つ」「身体を上方に伸ばす」という行為すらできなくなります。

つまり、浦上範士の足踏みを内腿に力を入れながら行うのは解剖学的に無理です。この教えを実践したければ、千葉範士、宇野範士同様に、

広めに足踏み、太腿外旋、踵荷重にしないといけません。

神永範士:足に力は入れない、うなじを伸ばすと、両肩が落ちて開き、ひかがみを伸ばす、打起こしから会に入るに従い、縦線が一貫してくる、ここでの縦線は「踵から足裏に響き答える」ようになる(P-64)

両足を広く踏めば、これ全部できますね。

広く足踏みを踏みましょう。腰の位置が下がって、相対的に両肩が落ちます。

その次に、太腿を外側に回してください。膕(ひかがみ)がピンと張らず、やや凹んで、立てますね。

そうして、太ももを外側に回すと、骨盤が起きて、上半身が伸びます。これが「縦線が一貫する」という意味になります。

高木範士:足裏全体が平らに、ふんわりピッタリと大地(床面)に吸い付くようにする

ふんわりぴったりつけたいなら、足踏みを広くしましょう。

「上肩、妻肩を地紙に重ねよ」と言っているが、足裏の心持ちがこうなるように。

上肩は肩の骨、妻肩は腰の骨、地紙は両足裏によってできる底面の事です。この教えは、「この面の中に肩、腰の骨が収まるようにしなさい」という意味です。

のためには、太ももを外側に回して、踵に体重をのせましょう。すると、肩と腰の骨が足首の骨と垂直に揃います。足裏の面内に収まります。

広く足踏みをするには、足の角度は広くする必要がある

広く足踏みを踏むと、脚の内側に力が集まるため、必然的に骨盤が前に倒れます。

これを防ぐためには、足の角度を広めに踏む必要があります。

つまり、

足幅が広くなれば、足踏みの角度も広くなる

と理解しましょう。

実際に、弓道教本の図解も足踏みを広くしています。このイラストの通り、足踏みは広くするべきです。

それ以外に、足踏みの広く踏んでいる先生の方が多数です。

そこで、教本二巻の内容をもう一度、読んでいきます。教本の先生も足踏みを広くするように解説しています。

千葉範士:足踏みは外八文字で開くが、左肩が伸びなくなったら半丁字の足踏みにする

外八文字=足踏みの外側の部分を「八の字」になるよう踏むことです。これは、「足踏みの角度を広め」という意味です。

半丁字の足踏みとは、左足を広めに踏む足踏みです。これも、左足を広く踏む=足踏みを広くという事です。

宇野範士:一応60度と記されているが、つま先の間隔が狭い場合は六十度が良いようである。足踏みは次第に狭くなる傾向があるが、これは足踏みの本義を忘れて、ただ立ちさえすれば良いと言う考えから生まれてくるものである(P66)

「狭い足踏みは足踏みの本義を忘れる」ということは、逆に、「広い足踏みで足踏みの本義を勉強できる」と言えますよね。

という事は、「広い足踏みを踏んだ方が良い」という解釈になりませんか?

宇野範士は全日本弓道連盟の初代会長です。

責任ある仕事を牽引した弓道家が「狭い足踏みは本義を忘れる」と言うなら、その言葉通り、広めの足踏みを実践しましょう。

浦上範士:足踏みは角度は外八文字で十二軒の軍扇を八軒に開いた角度で、およそ八、九十度位になると思う。(P67)

千葉範士の話される「外八文字」と同じ、足の外側が80−90度であれば、角度も広く踏む必要があります。

ー矢束も多少異なって来る、そこで矢を喉元に当て左手を真っ直ぐに伸ばし、中指の先までに至る長さを矢束の定法とし、それより一寸足す。(P-67)

そもそも、矢束は日置流の古書で「矢束=矢の長さ」と解釈されていません。ので、この内容は無視しましょう。そもそもの定義が原文と違いますので、勉強ができません。

神永範士:つま先は90度位が安定して良いように思う。足踏みが狭いと上が長くて下が短く不安定、両脚の開きはほぼ60度でほぼ60度くらい。正三角形の立った形になる(P68)

この内容も足踏みの角度を広めにしたらできます。

神永範士は「足」だけではなく、「脚」全体で足踏みを考えています。

両足を90度まで開くことで初めて太ももが60度に開かれていると解きます。

足先だけ60度にしても意味がありません。膝の向きを含め、太ももが60度まで開かないといけません。

足を開く目的は、足先を開いて「太ももを外側に回しやすくし、骨盤の位置を安定させる」ためにあるはずです。

であれば、足踏みの角度は広めになるのが自然です。

高木範士:足踏みの距離と角度、射型上から言っても釣り合った美しさという意味で大切である。左右にふみ開いた幅は、内側で60−70度くらいが良いと思う。ー両足間の距離・間隔は踏み開いた左右の拇指の爪先のところで、自分の半分くらいが良い。

この文章をみたら、釣り合った美しさのためには、60−70度の角度の足踏みをしないといけなしと考えたくなりますよね。

おっしゃる通り、ではこの足踏みでも姿勢を整えて引けるようになりましょう。

そのために、足踏みを広くした方が確実です。

足踏みを広くすれば、内転筋が伸びて、肩甲骨を広げやすくなります。姿勢もぶれにくくなります。人の身体は効果的に活用した体の使い方は頭に確実に記憶されます。

しっかり体を使って練習した後に、狭く足踏みを行ってください。これで、「見た目綺麗な60度の足踏みできるようになります。

こんな話があります。

アスリートと一般人で理想の動きを見せた後に働く脳の部位を調査した実験があります。

アスリートの人は、一流選手の理想の動きを見せると、働く脳が広範囲に渡ったという結果が出ました。アスリートはこれまで体を酷使した経験から、その「理想の動き」に対して必要なこと、動きを頭でイメージできるからです。

一方、一般人は理想の動きを見ても、脳が活動した部位はほとんどなかったという結果が出ています。

このことから見ても、体をたくさん動かした方が、理想の動きを実現できる確率は高くなるとわかります。

「脳を鍛えるには運動しかない」という本も出ているくらいです。

だとしたら、考えてください。見た目が綺麗な60−70度の足踏みをやるためには何が必要ですか?体をしっかり使うことですよね。

何も努力をしないで、見た目だけ気にして綺麗な足踏みで引くのは科学的にも難しいです。そうではなく、それをするための土台として、広い足踏みを行うようにしましょう。

鳥が綺麗に空を飛んでいる姿を見た時、羽をどれだけ動かしているか分かりますか?綺麗な動きには、体全体を効果的に使ことが必要不可欠。

人によって適した足踏みを見つけるためにも、「広く足踏みをする」

先ほどお話したように、「人それぞれ足踏みの幅が違うのだから、足踏みを広くする事は違うと反論する人もいるかもしれません。

例え、骨格がずれたとしても、足踏みは最初は広めに踏んで問題ありません。そのように教本の先生も話しています。

例えば、

千葉範士:体格によって差異はない(P-70)

と言っています。

そもそも、体格によって変に踏み幅や角度を変えたら、ややこしいです。

何センチの体格の時に何センチ開くのが適切と言うのはどう判断するのでしょうか。

身長が低くても腕が長ければ、矢束の長さが変わります。身長が高くても手足が短ければ、矢束の幅は短くなってしまいます。

一人一人適切な長さ、角度を決める事自体非現実的です。

そんなことを考えること以上にまず先に、体を効果的に使える足踏みに取り組む方が適切と言えます。

全員が広めに足踏みをしておけば、後から狭くすることは可能です。さらに、一人一人の足踏みの幅に合わせることもできます。

さらに、千葉範士は次のように続けます。

千葉範士:若い背丈の高い者で足踏みが狭ければ、天地の均衡を破ることになるから、常に矢束に習って行うようにすれば良い。

やはり、若い人で足踏みが狭いことに関して否定的な意見を記されています。加えて、千葉範士の足踏みの考え方は合理的です。

年齢によって足踏みは狭くなっていきます。歳を重ねて太腿を外旋させる力が衰えれば、広く足踏みをすると骨盤が前に傾いてしまうからです。

ですので、若い内に広く踏んで、できるだけ太腿の筋肉を鍛えられる内に鍛えた方が有利です。ですので、千葉範士は、

千葉範士:常に矢束に習って行うようにすれば良い。

と記されています。若い内は脊柱が伸びているので、自然と引ける矢の長さは長くなります。だから、若いうちは足踏みは矢束に習って広く踏みます。

しかし、歳を重ねると石柱が縮んで矢の長さは自然と短くなります。体が動かせるうちは広く足踏みをします。

そして、高齢になってから狭い足踏みでも対応できるようにするために、今は広い足踏みを先に行うことが大切です。

にもかかわらず、年齢に問わず、広すぎない足踏みを「正しいから」という理由だけで理屈もなしに推奨するのは、教本の先生の内容に反します。

宇野範士:丁字に近い形、すなわち左足の角度が広すぎるような場合は、左脚が突っ張り前がかりのようになって「胴造り」が崩れる。これはあて弓一方に偏することになる。三重の十文字と言うことが大切である。(P70)

この文章の通り、一方の足の角度だけ広めに踏んでも、結果的に胴体の姿勢が崩れてしまいます。

どのような足踏みの角度でも、胴体の姿勢がぶれないことが大切です。

で、そのためには広い足踏みを行いましょう。

なぜ、足踏みの角度がずれてしまうと、胴体もぶれてしまうのか。それは、足踏みをしている最中に骨盤が動くからです。この骨盤の動きは引いている最中の腰の意識の甘さからきます。

弓を引く動作だけに囚われてしまうと、自分の腰や上半身がぶれている事に対して気付きにくくなってしまいます。引いている最中でも腰の位置を安定に保つ必要があります。

そのためには、足踏みを広く踏んでおいた方が良いです。広い足踏みは腰の位置が地面に下がり、安定しやすいからです。

左足の角度を広くした状態でも、どのような状態でも、足幅を広くすれば、姿勢が保持できる事は多いに期待できます。

そのため、足を広く踏めるようにしておいた方が良いです。

浦上:何時もと同じ引いても、矢が前ばかりに出たり、後にばかり外れたりすることがある。斯様な時は左足を動かさず、右足を動かして修正するのである。矢が前方に着いたなら、その日1日は前方に着くものと思い、右足を少し前に踏み、矢が後ろに着いた場合は右足を少し後ろに踏む。これを権足の中準と言う(P70ー71)

この文章は、「一方の方向にばかり飛ぶ」場合の対策方法です。其の場合にだけ使ってください。

10本引いて8本程度同じ方向に外れているのであれば、この方法を試す価値はあると思います。しかし、10本中5本前、5本後ろに飛んでいるとなったら、どちらの方法を使えば良いかわからなくなると思います。

したがって、この文章の内容を意識的に取り入れない方がいいです。

さらに、宇野範士の文章を借りると、この狙い目の修正方法は多いに疑問があります。

弓道において、狙いだけ変えて的中するのは御法度である筈です。それはアーチェリーになるからです。正しい形で的中するのが弓道の本義と話されているのであれば、ねらい(左手の位置)だけでなく、引き方を変えるべきです。

そこで、この文章は足踏みの位置を変えるべきと提唱しています。足の位置を変えて結果的に左手の位置が変わるのであれば、それは問題ないと。

言いたいことはわかりますが、左手の位置自体を変えるのと本質的に変わりません。

なぜ、「足の位置を変えた結果、左手の位置が変わってしまう」事はオッケー的な流れになるのでしょう?少し冷静に考えれば、左手の高さを変えることも、足の踏み方変えて左手の位置を変えることも同じになるはずです。

この方法を用いることは、弓道の本義から外れる危険があります。

加えて、「右足を前に踏むと、狙い目が後ろ方向に補正されて前に飛んでいる矢が真っ直ぐに飛ぶ」と解説されていますが、これも違うと思います。

右足を前に踏むと、右肩も前方に出やすくなります。すると、右腕、右手首が内側に捻りやすくなってしまい、矢の篦を押してしまい、篦じないが起こります。結果、矢が前に飛んでしまいます。

さらに、この文章の続きを見ると

矢が上に飛んだ場合は足踏みを狭く踏み、矢が下に飛んだ場合は足踏みを広くする(P71)

と記載されています。下に飛んだ場合は足踏みを広くするのは良いです。しかし、上に飛んだ時に足踏みを狭く踏むと、同時に両肩も前後に動きやすくなってしまうため、狙いの補正になるとは考えにくいです。

確かに、浦上範士は写真で見てもわかる通り、「矢の長さいっぱいに引かず、左右の腕を内旋させて矢尺を一定にすることを大事」にしています。なので、口割も高めであり、下げることはありません。

このように引いているのであれば、足の位置だけ変えて狙いの補正はできるかもしれません。しかし、連盟の射の場合、口割を唇まで下げて、もう少し矢尺を取るため、足の位置を前後に変えると、右肩の位置自体も動きすぎてしまいます。

したがって、この方法を取り入れるのは、難しいと判断されます。

では、日置の弓術ではどのように修正するのが適切だったのでしょう。日置の弓術書にある弓術の理念に基づいて考えると。

・下に飛んだ場合は足踏みを広くする

・上に飛んだ場合は、矢を重くする

のが正解になります。

なぜなら、日置流の弓道の理念には「飛・貫・中」と言う言葉があるからです。

「遠くに飛ばし、威力を引き出し、的中する」射を目指すことが根底にあるからです。

この理念が今も引き継がれているのであれば、矢が上に飛んだ時に、足踏みは狭くせず、「よく飛ぶようになったから矢の重さを変えよう」と考えるのが普通です。

今の日置印西派の射は口割を上げて、矢束いっぱいに引き絞らず、そこから、的中することを目指しています。

確かに、この射法なら、浦上日置当流の教えは使えるかもしれません。

しかし、スタイルの違う流派の内容を無理やり取り入れるのは、単純に失敗する可能性が高いです。

ので、私はわかりません。この方法が活用できるかは、ご自身のご判断で。

高木:足踏みの角度や間隔は規矩に適った形を取らねば、射に色々悪い影響が現れてくる。角度が狭すぎると、体は前後に安定度が高くなるが、左右の安定度が低くなる。角度が広すぎると、左右は高くなり、前後が低下する。

両爪先の間隔の距離が大きすぎると、腰からしたの筋骨が働きすぎ、特に下肢の内側の筋肉が緊張しすぎて、体の左右の安定度は高くなるが、前後に脆くなる。下半部が硬くなり、

反対に距離が近すぎると、下半身の筋骨は楽になるが、上半身も締まりがなくなりがちで、懸かる身、退く身、曲がりや捻れなどが起こりやすくなる。(P72)

この文章をそのまま捉えると、「足踏みは広すぎると下半身は緊張すると、狭すぎると上半身は動きやすくなる、だからこそちょうどいい足踏みの幅を探さないとダメなんだ」と思いたくなります。

この発想がいけないのです。とにかくちょうどいい落とし所を探そうと言う発想で適切な角度に踏んだら、下半身の力を込められません。

なぜ、下半身に力が入るのか?足踏みが広いから緊張するのではありません。広い足踏みを行ってしまうと、骨盤が前に傾きやすくなるからです。

腰が前に出てお尻を突き出すような姿勢になり、太腿の裏側の筋肉が張ってしまうのです。だったら、広い足踏みで骨盤が前に傾かないように工夫をすれば良い話です。

つまり、どのようにこの知識を活用すれば良いのか?この文章は、「礼射(幅が身長の半分、角度が60度)を基準にして解説していると思えば良いのです。

身長の半分程度に開き、角度を60度に踏み開いた姿勢から

・さらに足踏みを広くすると、左右の安定性が向上するが、下半身が緊張しやすくなる

・幅を狭くすると、上半身の姿勢が左右に傾いたり、捻れやすくなる

・角度が狭すぎると左右の安定性が弱くなり、広すぎると前後に安定性が弱くなる

ということです。この知識を活用して、それぞれ足踏みが合わない人に照らし合わせていけば良いのです。

胴造りが左右に傾く人、胴体が捻れてしまう人→「足踏みを広め」

反り腰になってしまう人、→骨盤が前にむきすぎているので、足踏み角度を広くして、補正。

上半身が緊張しちゃう人→広い足踏みを行ってから、少し足踏みを狭くする

と、上記の知識を照らし合わせて、「胴造の問題を解消をするための」足踏みの使い方を捉えれば問題ありません。

この文章は適した足踏みを解説した文章ではありません。それよりは、ご自身の胴造が崩れた場合に修正するための知識を捉えて読まれる方が頭に入ります。

実際、高木範士もそれぞれの足踏みのメリット、デメリットを解説されているだけですので。

ただ、このような内容であっても、どんな骨格でも、やはり「広い足踏み、広い足開きの角度」を先に行う方が得です。

出尻鳩胸の人→胸が出ないようにするために、足踏みの角度を広くする

猫背の姿勢になっている人→足踏みの角度を広くし、踵に体重を乗せると、首の筋肉を上方に伸ばしやすくなる

太っている人→足踏みを広くし、体重を後ろに乗せると、骨盤を起こしやすくなり、姿勢を伸ばしやすい

痩せている人→足踏みを広くし、太腿を外側に回せば、胸郭を内側にすぼめることができ、反り腰が防げる

左右の肩に力が入ってしまう→足踏み広くして、腰が下がれば、肩も下がる

左肩だけ力が入る→足踏み広くして、左足だけ広げれば、左肩が下がりやすい

右肩だけ力が入る→足踏みを広くして、太腿を外側に回す。その後に右肩を後ろに引けば、右肩があがるのが防げる。

このように、どのような骨格の人も足踏みの角度を広くすれば、問題を解消できます。足開きの角度を広くするなら、足幅も広くしていかないといけません。

そのため、「広い足踏み、広い足開き角度、太腿を外側に回す」。この三つはどのような骨格の弓道家も実践すべき「基礎的な内容」と言えます。

この三つの動作を行えば、全ての先生の言っている内容を身体で理解しながら、弓を引けます。ぜひ、実践ください。

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