弓構え2:生理的に負担の少ない頭持(ずもち)を理解する

的を射る時の顔の向け方を物見といい日置流では「頭持ち」といわれています。この動作が完了すると弓構えが完了します。狙い目を正確につけるための頭持の仕方について解説していきます。

何気なく振りむく向け方が理想である

狙いに非常に関係が深く、物見に関する教歌もありますが、この中にに顔の向け方の理想形があります。

それは、だれかに呼ばれて何気なく振り向くように頭を向けることです。

これは、呼ばれたときの顔の向け方はいつも同じで、仰向きすぎず伏せすぎず、向け方に過不足がないからです。

頭持ちは「目頭目尻の準」を理解する

的に正しく向けるとか、アゴが肩に乗るごとくにせよという説がありますが、日置流では的の方に振り向いたときの基準は「眼」を基準とします。

これを「眼尻眼頭(めじりめがしら)の準」といいます。やり方は右眼は眼頭に、左眼は眼尻に瞳があるように的を見込むようにします。

これは、だいたい鼻に近い方の目の位置が鎖骨のくぼみ程度に落ち着く位置です。首の筋肉が張らずに、かつ顔を向けやすいことがわかります。

なぜ、眼に置くかというと、あごが肩に乗せるように顔を向けるのは生理的に難しいからです。他に、狙い目、弓手の動きに支障が出るなどの理由があります。

日置流の「四つの弓構え」

古来弓構えには、右段、中段、左段、単の身(ひとえのみ)の四つがありました。

単の身の弓構えは印西先生考案によるものと伝えられ、戦場にいて飛来する矢を防ぐのに弓を利用した構えです。これらの違いは弓の伏せ方にあります。自分の体より前にあると「右段」、後ろにあると「左段」、その中間が「中段」、自分の体の前に伏せる感じが「単の身」の弓構えとなります。

なぜ、日置流では、胴づくりのときに、首を伸ばすとか、心気を丹田に収めるとかそういった話が少なく、袴の板が腰に当たっていれば良いというだけなのでしょうか?

それは、弓構えが四つあることと通じます。

弓構えが四つあるのは、日置流においては「狙い、的」は固定されていないものと考えています。固定する四つの的ではなくて、変化する相手に対して、弓構えの形を変えるということです。

なので、的が変化するということは、胴づくりも変わってしまいます。狙いが変われば、いちいちそのときの首の位置や肩の位置、心の起き方を考えていては、また狙いが変わったときに、修正しないといけなくなります。

よって、袴腰の準が適応されていることがわかります。

他流のように会のときに無念とか、無想といって、心の統一を説明しますが、日置流では、弓構えの段階で心を済ませることを完了させます。

なぜなら、多く昔の殺人弓時代にはこの必要性があったからです。日置流の弓構えの教えで、弓を伏せること、雑念を払うことを教えています。弓構えの段階で心構えはすでに押し引き、弓を引くことに誠意を尽くします。

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