高段者に指導を受けずに、落ち着いて正しい所作を身に着ける

弓道を稽古するうえでは、正しい所作を身に着けないと思っている人は多いですよね。今回は、落ち着いて正しい動作を身に着ける方法についても解説していきます。

解決策は簡単で「ひたすら蔵書を読む」ことに付きます。というよりこれを行わなければ、自分で考えて体配も教えられないし、受け手に納得のいく説明もできません。それどころか、これを行わなければ、指導者、高段者のせいで受け手の所作が悪くなるどころか、弓道の技術も低下する危険があります。

では、その理由について詳しく解説していきます。

できるだけ、蔵書を読んで自分で考えられるようにする

ずばり、礼法や所作をきれいに行うコツは「蔵書」を読むことです。例えば、世の中には作法に関する書籍、資料が多く出ているのがわかります。

こうした内容を見ることで、「そもそも礼とは何?」「なぜ、体配を行わないといけないのか?」という理由についてわかるようになります。このように、礼法の動作や型だけを学ぶのではなく、それを行う意味や理由を詳しく調べることで、礼法で行うべきことが明確になります。

例えば、私は礼法に関する書籍は、3冊以上調べました。その内容を理解して、自身が体配を行うときに実践をします。

ここまで調べると体配を行う理由についてわかるようになります。簡単に、体配を私たちがしないといけない理由について解説します。

私たちが体配を行う理由は、弓を引くための適切な姿勢を準備するためです。まず、弓道は弓を矢の長さいっぱい引くことで、肉体を鍛えて心を養うのを目的としています。そのため、体配はその前の準備であり、行うことで自分が射の動作を移りやすくなります。

そのために、動作では呼吸をし、膝の裏側もへこませて動作をします(ひかがみを伸ばすという言葉の本当の意味を理解するためには、こちらの内容をご確認ください)。さらに胴造りを基礎とし、動作は腰から行います。腰から動く理由は、そのようにすることで上半身に力が入らず、着崩れせずに、動作できるからです。

加えて、礼法についても文献を調査していれば理由はわかります。「礼を学ぶ」理由は、弓道を行う人達とつながりを作るためです。

人が誕生して間もないことは、感情の発生が単調でした。万葉集などの古書を見ると、「尊敬・畏敬の念「契り」「恩愛」の感情が自然発生的に出たとされています。その中で、尊敬・畏敬の念から「宗教」、契りから「法令」、恩愛から「礼」が発生されたとします。

つまり、礼という動作は人間同士が話あって決めたものではなく、自然発生的に行っていた一つの動作と言えるのです。その目的は、人間同士が争いを行わず、お互いに平和に生きることを同意を持つための挨拶、合図ともいえるでしょう。

いかがでしょう。このように体配は射の準備、礼法はお互いに恩愛の気持ちをはぐくむためを目的としています。きちんと本に基づいて、体配や礼法を考えると、変な間違いを侵さずに体配や礼法を学ぶことができます。

射の準備のための体配が大切と考えれば、執り弓の姿勢で無理に右肘を張りすぎるのはきれいな動作につながらないのは容易に想像できます。なぜなら、そのようにすると、射に移る前には腕が疲労してしまい弓を力いっぱいに引けなくなるからです。弓を引いて体を鍛える弓道ができないことがわかります。

すると、右肘についての張り方を学んだり、昔の作法のように、無理に張りすぎなくてもいいということがわかります。体配の本来の目的を明らかにすれば、すべての動作に根拠がつけられます。このように考えと、落ち着いた静かな動作を効率よく身に付くのです。

一方、既存の弓道の体配では、形だけは教わりますが、それを行う理由や根拠までは教わりません。そのために、体配で形式を気にするほど、弓を引けなくなってしまうのです。跪坐で脚がパンパンに張って、両腕も無理に張って詰まってしまった状態では、弓を満足に引けなくなってしまいます。

あなたの弓を引く技術は体配を行う理由を明確にしなければ、どんどん弓を引けなくさせてしまいます。

駄目だしと指摘だけで中身のない礼は、文献上「奴隷の礼」にあたる

礼法、体配を行う際に、指導者や高段者から指摘をいただきます。もし、そうした形式に対して、体配に沿った理由を明確に説明しなければ、「奴隷の礼法」になってしまいます。

先ほどお話しした礼法の文献の中には、「礼には恩愛の礼と奴隷の礼が二つある」こともわかっています。礼法は、時代や必要に応じて型や動きが変わります。しかし、その動きを変えるときは

・お互いの同意をもとに形を変えること

・上の権力者だけが都合がよくならないようにすること

という決まりがあります。そうでなければ、礼によって「人の心を悪い方向に導く」と解説しています。つまり、体配の動作で変更する場合は、権力者だけが勝手に決めるのではなく、皆も合わせて話合うプロセスが必要です。礼は「恩愛の気持ちから発生したもの」と理解すれば、このようにする理由も納得できます。

ただ、残念ながら今日の弓道の世界は、皆で話合わず、上の立場の者が気まぐれに変えています。

ちなみに、徳川の時代は人民を抑圧させるための政策として礼法を用いていた話もあります。このように、ただ理由もなく形式だけを教えて、それを行わないといけないと結果的に押し付けていては、きれいな所作を覚えるための礼法ではなく、「その人を都合の良いように言うことを聞かせるための礼法」に結果なってしまいます。

よく、高段者や指導者が受け手にする形式的な指摘の例を上げます。

「歩いているときは目線がきょろきょろしないように」

「早矢、乙矢を持つときは二本の矢が平行になるように」

「筈を送りこむときは、回転させながら入れてはいけない」

「弓倒しをするときは、肘を張って」

「礼のときは、下から上へなめるように頭を上げる」

このように、一つ一つの細かい型をチェックする分野として「軍隊の訓練」があります。私は、自衛隊の幹部生になり、現在40人の部下を持つ自衛官の知り合いがいます。その方に訓練の方法を聞くと、同様と話されます。

もちろん、私は奴隷の礼を否定しているわけではありません。人によっては、理屈なしに叩き込まなけばいけない場合もあると思います。

しかし、教えている人が奴隷の礼を教えていると無自覚に教えている場合は問題です。指導者や高段者の勉強不足のせいで、真面目に頑張っている人に意味もなく形式を押し付けすぎた結果、その人が自分で思考する力や考え方を奪ってしまいます。すると、問題や射癖が出たときに、自分で解決できなくなって弓が引けなくなります。

自分で考えられる力を与えないでただ形だけ整えて稽古させるとどんどん弓引きは消えてしまいます。教える側は楽かもしれません。ただ、必ず多くの書籍を読んで、指導者自身が考えられるようにして体配を教えるようにしてください。そうしなければ、弓道の実力が低下する人がさらに増えていきます。

昇段審査だけ受けても体配が教えられない理由

後、昇段審査で高段を取得したからといって、自分は体配を知っていると思いこみすぎないようにしましょう。

なぜなら、今の連盟で教わる型の中身や意味を勉強されている人がほとんどいないからです。

確かに、今の連盟で行っている型を覚えることで、知識も増えるでしょう。しかし、あなたが昇段審査を受けた末に手に入れた体配は、数年後には形式が変わって全く使えない知識になっている可能性が高いです。

例えば、私は昇段審査を受けたとき、最低でも5分以上跪坐の姿勢を保持する練習をしていました。なぜなら、膝を生かす動作ができなければ、審査に落ちてしまうからです。跪坐ができていない=足腰が鍛えられていないと判断され、減点となります。

しかし、関西の弓道関係者に聞くと、地方審査では膝を生かさないで受けている人がいると聞きます。その理由は、講習会の先生が「生かせないのであれば、生かさなくてもいい」という風に教えているからと聞きました。ある地域では、跪坐の姿勢を取るときに膝を生かさなくても受けられるのです。私はその基準の甘さに最初驚きました。

その他に、射が終わり、退場するときの右足の踏み方が7年前に変更がありました。4年前には、三つ弽での乙矢の取り方が4年前にも変更されました。本弭の置き方に関しても一か所見られるポイントが2年前から新たに付け加えられました。

このように、実際に弓道連盟の体配は年々変化しています。地域が変わると教わっている内容も異なります。したがって、取得してもほとんど使える知識にならない可能性が高いです。それどころか、教えたとしても、「それは昔はそういう型だったけど、今は違う」と指摘されることもあるでしょう。

だから、私は高段になったからと言って体配を知っているとは思えません。昇段審査だけ受け続けるのはいつかは使えなくなるであろう型の知識に金と時間を消耗し続けているだけになってしまいます。そのため、高段者こそ、体配で考え方や中身が深まらないと言えます。

私は練習する際に、体配は射の準備と理解して一つ一つの動作を考えてきました。そのために、教本の中に記された「基本動作」が7つである理由でさえ説明できるようになりました。しかし、これをきちんと説明できる高段者は60団体以上見聞きして、聞いたことがありません。それだけ、昇段審査だけ受けても体配の知識は深まらないのがわかります。

このため、正しい所作や落ち着いた動作を実践したいと思ったら、できるだけ書籍を多く読んで自分なりの説明をできるようにしましょう。

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