教本64ページの文章をきちんと読むと、体配動作を効率よく覚えられる

教本の基本動作を調べると、作法を効率よく覚えられるのをご存じでしょうか?今回はその文章を引用すると

動作には残心が大切である。立つ、座る、回る、揖、礼等いずれも動作の決まるところには、とくに気を注ぎ、残心がともなわなければいけない。

この文章の内容を正確に理解すれば、体配動作を効率よく覚えられます。

残心=止まるでないと解釈する

よく、多くの人は残身を「残る」と書いて、止まることを残心と書きます。残身を残す身と書いて、動作を止めることと解釈している人も多いです。

正確に申し上げると、残心=止まることではなく、常に一つの気持ち(心)を残し続けることと解釈します。

例えば、射法八節には離れの後に残身があります。これを離す動作を離れとして、終わった後に伸びる動作を残身と解釈している人は結構います。そのため、残身動作を行う際は、残身を3~5秒程度保ちなさいと解釈される場合があります。

ただ、このように言われて伸ばしてじっとするのは残心ではありません。正解は、「大きく引いて離せば、腕を伸ばす動作が2,3秒程度持続する」と解釈します。

大きく弓を引いて離そうとすると、弓を外側に押し開こうと多くの筋肉が働きます。したがって離した後にも弓を押し開こうとする筋肉の動きの余波が残るため、離れた後にすぐに弓倒しはできません。ずっと腕が外側に伸ばそうという運動が続くため、残心を作とうと思うのではなく、自然とそうなるはずです。

つまり残身を止めるのではなく、腕を伸ばす気持ち(心)を常に残し続けると解釈して、腕が伸びるはずです。

このように考えると体配動作も同じようにスムーズに動作ができます。

体配動作では、呼吸に合わせて動作が合わせるのを基礎とします。呼吸に沿って動作を行っている状態を生気体とも名前がつけられています。それに加えて、吸う、吐くの運動は乱れず、途切れず、平静に行いなさいと説明されます。このように、呼吸を平静に保つのを「息合いを平静に」とも解説されます。

そうすると、腰から動いて呼吸もスムーズに行える状態で動作をすること、またはその気持ちを残し続けることを優先順位に置きます。これを「動作では常に残心を伴う」と解釈します。

つまり、動作をしているときに一回一回止まってはいけないのです。なぜなら、動作を止めることは自分の筋肉にブレーキをかけたり縮ませたりするからです。

例えば、歩き動作で「すり足」をする人がいます。すり足を地面をする歩き方と解釈して、地面を擦る音を立てながら歩く人がいます。このように、地面を擦る音を立てると首筋と腰の筋肉が縮みます。したがって、胴造りの姿勢が伸びた状態が崩れてしまい、胴造りを常に意識して動こうという残心が取れなくなります。

あるいは、形がきれいだからという理由で、動作の最中に細かい取り決めが多くあります。矢番を行うときは、早矢と乙矢は平行にする、弓を立てるときは、上部が傾きすぎないようにする。このように、細かい取り決めが増えるほど、その形を整えることに意識が言ってしまい、呼吸や姿勢を整えて行う残心の意識は途切れるでしょう。

教本の64ページには

心を離れて形ばかりにとらわれては死気体(虚体)となる。

と記しています。この文章の通り、「細かい形や取り決めにとらわれる」のは体配を適切に行えていません。

もちろん、それらのようなことを最初からすぐに意識できればそれに越したことはありません。それらの取り決めを行う合理的理由が全て説明できるならさらに問題ありません。しかし、そのような細かい取り決めを最初から多く伝えてしまうと、教わる側が体配をしているときの残心は途切れます。そうすると、体配動作を覚えられないのです。

この残心の概念と「止める」ではなく「一つの意識を続ける」と解釈すると、体配を覚える速度が格段に速くなります。

最初に大まかな流れを覚えこませると、体配は細かい内容もすぐに覚えられる

残心の重要性が教本に書いてある以上。教本の通りに行うのが合理的であり、効率的です。そこで、体配動作を覚えるときは、大まかな流れを先に何回もやらせるのが効率的です。

礼儀動作は最初は完璧に行わず、流れを覚えましょう。理由はそのほうが頭に入りやすく、残るからです。

作法を教えるときは、細かい形や型をいきなり教えてはいけません。そのように話すと、受け手はその細かい型や決まりにとらわれて、全体の流れを覚えられません。そうすると、細かい内容をいくら教えても頭に入りずらくなります。

一方、本座から始まり座射まで細かい部分を抜いて、教えたとします。はたから見てぎこちないように感じますが、作法の流れは記憶してくれます。その後に、少しずつ細かい内容を教えると、ひとつずつ行うようになってきます。

これは、なかなか来れない社会人に使える有効な方法です。

当弓道の団体には、弓道を初めて間もない方が数名います。そういう方のネックは、作法の細かい内容を覚えられないことです。矢番え動作から、立ち上がる動作まで、決められたように覚えて動作できません。そこで、次のように行います。

1、覚えている範囲で全体通して行わせる

2、細かい内容はできるだけ絞って伝える

こうすることで、作法の流れについて覚えることができます。おおまかな流れを覚えてもらった後は一つずつ細かい内容を付け足していきます。

私の知り合いで、体配の動作を本格的に学んで数回の人もいます。そういう人にいきなり「ちょっと体配やってみましょう」と無茶ぶりをします。すると、100%きれいにできませんが、70%くらいはできています。そのため、「次はこういうところを意識してください」などアドバイスを加えるだけで、指導が終わってしまいます。

細かい内容を先に教えると、後になって結局体配動作を忘れる

なお、この指導法とは逆の方法を教えている協会を私は二つ知っています。その協会に属している人二名から確認したところ、「一つ一つ細かく体配を教えてもらったが、後になってすべて忘れた」と意見をいただきました。

具体的には、最初に体配を細かく教えます。歩き方、リズムの取り方、礼の仕方、矢番えの動作、一つ一つ細かい部分を覚えるように指摘をされます。それをすべてクリアした人がゴム弓を実践でき、次に巻き藁をできます。

そうして、巻き藁を行った後に、射場に入ることができます。しかし、そのころには前に習った体配動作はほとんど忘れてしまっています。指導者本人は、「前に教えたでしょ!」と怒っていましたが、客観的にみると、教え方が不適切といえます。

一つ一つの内容を細かく教えた方が、安全に動作ができるのではと思いこむかもしれません。それは逆です。実際にはこの方が多くの事故が起こります。知識もなく、引き方がわからない状態でただ形だけ指摘され続けると、弓を引くどころではなくなります。

そうすると、筈こぼれ、矢こぼれ・・・・このくらいであればまだかわいいですが、場外に飛ぶ、観客席に飛ばすという事故も起こす可能性があります。

基本的、そのような事故が起こった場合、教えている側のシステムが悪いととらえられます。しかし、弓道の世界では、高段者はそのような責任を取ることなく、「なんであんな風に行ったんだ」と言われる可能性の方が高いです。そのため、気をつけてください。

これに対する解決策は二つあります。そのような細かい指摘をする指導者についてしまったら、その内容を速く吸収できるように、残心を心がけてください。細かい内容を完璧に覚えるより、家の中で大まかな流れを何度も行った方が適切です。それが仕事が忙しくてできない場合、潔くその連盟をやめて、別の協会に入りなおすことが賢明です。

上記したような「最初に細かく取り決めを指導したがる先生にあたった生徒さん」は2年以上、巻き藁しかできず、射場に立つことができませんでした。しかし、指導者を変えて、残心を意識して動作した結果、3か月で体配の細かい動作をしっかり覚え、射場に立って稽古しています。さらに、その方に後日談を聞くと、そのような指導でうまくなった人は学生のみで、時間がない社会人はみなうまくならずやめていったと話されます。

いかに、細かい指摘を先に行う指導が効率が悪いかがわかったと思います。そのため、いちいち細かい形を気にして体配を行うのはやめましょう。今持っている知識をフルに活用し、自分あんりにきれいな体配を意識すればよいです。すると、自然と気持ちが落ち着き、常に平静な気持ちを残す(残心)教本に則した体配が行えます。

ここで、指導される方はなるべく道場に来なさいと話されるかもしれません。ただ、そのように指導者が弓道を教える工夫をしなかったために、弓道の協会をやめて、私の団体に体験に来られた方は一年で100人以上います。そのように、指導者が受け手を教える工夫をしなければ、弓道人口は減る一方なので、責任をもって教えるようにしましょう。

残心という言葉を「止める」ではなく、「一つの意識を続ける」と解釈すれば、効率よく体配が行えます。ぜひ、実践してみてください。

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