低い打ち起こしから大きく弓を引くための考え方

低い打ち起こしから大きく弓を引くためには

ただ、例外として、低い打ち起こしでも引き分け動作を行いやすくする手法があります。それが、神永範士が説明する「平たいA,縦のA型」です。

 

 

(写真は教本二巻神永範士の打ち起こしの説明から引用)

 

神永範士は、打ち起こし動作の際に、「前膊(上腕のこと)を高くすることを説明に挙げています。これは、前膊を意識的に上げることで、腕の裏側の筋肉が張り、次の引き分け動作で活用することができます。

 

このように、打ち起こしの位置を低くしたとしても、弓を押し開くことは可能です。しかし、気をつけていただきたいことは、打ち起こしの位置が変わると、弓を押し開きやすい「角度」と「方向」が変わってしまうことです。

 

具体的には、打ち起こしにおける肘の角度が地面に対して45度以上上がっている場合、次の引き分け動作で弓の押しやすい方向は「斜め上方」です。肘が45度の場合、上腕の骨も45度に向いており、筋肉も同じ方向にむいています。そのため、意識としては、「斜め上方」に押すようにすると、拳に力みなく、弓の押し動作を開始できます。

 

しかし、「平たいA型」の打ち起こしをしたとします。すると、上腕の骨の角度は30度程度に収まります。すると、次の引き分け動作で弓の押しやすい角度は斜め上方ではなく、「やや斜め、ほとんど横方向」になります。場合によっては、「横に押す」という表現のほうが当たっているかもしれません。

 

 

打ち起こしが低くなると、拳、肘の位置が高いときに比べて変わります。つまり、教え方が異なることを頭に入れておかなければいけません。

 

「拳が半円を描くように」の解釈

弓道では、引き分けで「拳が半円を描くように」という教えがあります。ただ、この説明は打ち起こしにおける肘の角度がどのような場合でも当てはまるのでしょうか?もし、言葉の意味を理解しておかないと、矢束を最大限とって弓を引くことができなくなります。

 

打ち起こしにおける肘の位置が高い場合、打ち起こしから引き分けにおける拳の通る軌道は高いところから降りてくるため「半円の軌道」になります。しかし、平たいA型の打ち起こしから引き分けを行うと、右両拳の位置が低くなるため、「円」ではなく、「楕円」のように動きます。

 

 

そのため、平たいA型の打ち起こしの場合、次の引き分けで「斜め上方に押す」ではなく、「横に押し、引く」意識を強く持たないと、右肘が右肩の後方まで回らず、大きく矢束がとれなくなります。そのため、打ち起こしが低い場合は、むしろ横に引き続ける意識を持ち続ける方が、弓を押し開きやすく、矢束いっぱいに弓を引けるようになります。

 

神永範士の2種類の打ち起こし

平らなA型の打ち起こしの説明を行っているのは、神永範士です。神永範士は教本二巻では、二つの打ち起こし(高い打ち起こしと低い打ち起こし)の動作を説明しています。その二つの共通点として、「どちらの打ち起こしも脇下の筋肉を伸ばすこと」が挙げられます。

 

実際に行うとわかりますが、前膊を高く上げた状態(平らなA型)で打ち起こすと、今度は肩関節が固くあがりすぎてしまいます。そのため、平らなA型の場合、打ち起こしは低く収まりますが、高く上げたときと働く筋肉は同じといえます。

 

つまり、平たいA型における「前膊を高くする」という教えは「低い打ち起こしの状態」において、「脇・腕の裏側の筋肉を張る」ことを目的にしていることがわかります。

 

教本二巻を見ても、神永範士の若いときと年老いたときの打ち起こしの写真があります。比べてみるとわかりますが、年齢を重ねると、打ち起こしは低くなりやすいです。これは、加齢によって背骨が曲がり、腕が伸ばしにくくなったからと考えられます。このように、身体に異常や不具合が起こってしまった場合、形を変えて、筋肉の働かせ方に工夫をこらすのも射を長く続けていくために必要といえます。

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