足踏みの踏み方を変えることで起こる射への影響

 

 

弓道上達には、足踏みを考えていくことは大切です。引き分け以降の胴づくりの維持、よく生じる射癖などは、足踏みから来ていることが多いです。今一度、自身の足踏みの内容を見直すことで、射癖改善や弓道上達につなげていくようにしましょう。

 

足踏みの基準とされているもので、「足を開く角度は60度」「両足の幅は自分の矢の長さ(自己の矢束)」とされます。しかし、足踏みの適した広さは身長の高低や肩幅の広狭によって違います。もし、足踏みの広さが合わないと、引き分けの時の両肩が左右や前後にずれてしまいます。

 

そうしたときに、足踏みの広さが変わることで、どのように身体の姿勢が変わるかを理解しておくことが大切です。特に、初心者の場合は、やみくもに脚を開くのではなく、その意味をきちんと理解しておく必要があります。ここでは、足踏みの広狭によって起こる身体の影響と射に活かす手法について解説していきます。

 

両足の間隔を変えることで、変わる身体の影響

両足の開く間隔には、大きく分けて狭い・広いがあります。両足の幅が狭いと、下半身の内側の筋肉がゆるみ、楽になります。その反面、上半身の背中周りの筋肉が楽になり、ゆるみがちになります。一方、両足の幅が広い場合は、下半身の内側の筋肉が張り、安定します。しかし、その反面、張りすぎてしまうと、下半身が緊張しすぎてしまい、上半身も緊張してしまいます。

 

このように、下半身の筋肉にゆるみや緊張が起こる理由として、「身体の重心位置」が考えられます。足踏みの幅が狭いと身体の重心が上方に上がります。すると、上半身の重心を支える脚の負担が減ります。一方、足幅が広いと、上半身の重心が下方に下がります。すると、支える脚の負担が大きくなるため、負担が大きくなります。

 

同様の内容が、教本二巻の高木範士が説明されています。または、現代弓道講座2巻の本多流の射法説明にも記載されています。

 

負担が減ると、脚が楽になります。しかし、楽になりすぎると、筋肉に適度な張りがなくなるため、弓の反発力が体幹にかかると、背骨の位置がぶれやすくなります。あるいは、脚の負担を大きくし、筋肉に張りを作ると、安定します。しかし、筋肉が緊張すると、一時的には安定しますが、長期的に稽古をすると、上半身の力みによって、背骨がぶれます。

 

つまり、足踏みは広すぎず、狭すぎず、自分にとって上半身が楽に伸び、かつ下半身が安定した幅を探す必要があります。稽古をしていて、最初は意識的に広く踏むようにしてください。すると、20〜30射続けて、広すぎる場合は、脚に負担が来ます。

 

そうした場合、少し狭く踏むようにします。すると、上半身が楽に引けるようになります。ただ、あまり狭く踏みすぎると、引き分け以降に、両肩がぶれやすくなり、ねらい目がぶれたり、胴づくりが崩れるようになります。このした場合を経験し、自分にとって、安定して射が行える足幅を体で覚えていくようにすると良いです。

 

足幅の変えることを話された文献

弓道書籍を見ると、足踏みの幅を変えることに対する話をされているものがあります。例えば、唐沢範士の弓道読本には、「足踏みの広さを変えることの説明」は以下のようにされています。

 

まず、両脚を開く基準を自己の矢束とします。その上で、射をしている最中に両肩が上がる人や両肩が下がりすぎる人に対しての修正法を「足踏み」で説明しています。具体的には、「肩の高い射手」は足踏みを広く踏むと肩が下がる、「肩が落ちすぎるもの」は狭く踏むと説明しています。

 

この他に、左肩が前へ出るものは右足を、入り肩のものは右足を少し後に引いて踏ませるように解説しています。

 

教本二巻の浦上範士の足踏みの説明には、「権足の中準」という説明があります。浦上範士の文章をそのまま取り上げると、ねらい目によって、足を踏む場所を変えることを説明しています。例えば、矢が後ろに飛んでしまった場合は、右足を後ろ気味に踏むといったものです。

 

ただ、実際には、このようにして射癖を改善したとしても、それは本質的改善にならないと理解してください。引き分けにおいて、両肩が上がってしまう原因は、足踏み以外にも多く存在します。例えば、手の内に力が入りすぎる、大三以降で弓を押し開く方向、角度が合わず、肩の上部に力入りすぎているといったものがあります。

 

唐沢範士、浦上範士ともに、「上級者の方法」「慣れてきたら基準の足踏みに戻す」といった言葉を最後に添えています。つまり、初心者含め、これから弓道上達をしていきたいと考えている人は、このような方法を実践する必要はありません。むしろ、このような話にとらわれて、むやみに足幅を変えるようなことをしないようにしましょう。

 

また、弓道読本に記載された文章の一部には「上級者は足踏みの幅を狭くする」といった説明があります。しかし、心月謝儀を開設した梅路見鸞氏の足踏みの説明を見ると、「足幅を狭く踏む理由は、礼射を行う者が袴のすそを汚さないため」と記しています。つまり、足幅を広狭によって、実力の有無が変わるといったことはないと推測されます。

 

本質は胴づくりにある

足踏みは広くなると下半身に力が入りやすくなります。その結果、肩が下がります。逆に、狭いと上半身に力が入れやすくなります。そして、足の踏む位置を前後変えると上半身の向きが変わるので、肩を入れやすくしたり、出すことができます。

 

ただ、継続的に弓道を稽古するのであれば、「肩」「ねらい目」といった部分にはとらわれず、「姿勢」を意識するようにしましょう。弓道を稽古するに当たり、何本も続けて弓を引くための体力は胴づくりにおける姿勢が大きく関係しています。

 

もし、あなたが弓道で変な力みや射癖をなくし、継続的に稽古するのであれば、射の最中における「姿勢」を第一に考えるようにしましょう。つまり、骨盤の傾きであったり、足裏の接地面であったりします。骨盤が真っ直ぐに立ち、足裏の接地面を均等に乗せれば、上半身の無駄な力みがなくなり、弓を押し開いていくための準備が完了します。

 

そこで、こういった要素を無視し、肩の位置が高いので足幅を変えみたり、ねらい目がずれているので足幅を変えたりするといつまでも、射における姿勢が構築されません。年齢を重ねると弓を引いたり、姿勢を整えるための筋力がどんどん低下していきます。そのため、注意が必要です。

 

初心者は足踏みを広めに踏む

ただ、一番入りたての初心者に限っていえば、一つだけ脚の踏み方に工夫があります。それは、少し広めに踏むことです。

 

初心者は弓を引くときに上半身、腕、手首に力が入りやすいです。これは、多くの初心者は弓を引くときは、下半身が安定していると引きやすいということを体で体感していないからです。そこで、足踏みを少し広めを踏むことで、両脚で踏ん張りやすい姿勢を作ります。これにより、腕以外に脚や背中の筋肉を働くので、弓を引きやすくなります。

 

初心者は的中を目指すのではなく、大きく引いて離すように意識します。ある程度続けてきたら、無理のない幅で踏むようにし、射をしていきます。弓を引く動作になれるまでは、少しだけ脚を開いて稽古をすることは、弓を引く行為に慣れやすいというメリットもあります。

 

以上の内容を理解することで、射の稽古において、必要な足踏みの幅がわかるようになります。射における姿勢を作り、弓を引く動作を楽に大きく行えるようにしてください。足踏みを研究し、自分にとって適する幅を見つけることが、上達のカギとなります。

//

お客様からの声

無料メールマガジン:理論弓道

Facebookもチェック
var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0]; if (d.getElementById(id)) return; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "//connect.facebook.net/ja_JP/sdk.js#xfbml=1&version=v2.0"; fjs.parentNode.insertBefore(js, fjs); }(document, 'script', 'facebook-jssdk'));

書籍案内

 


HOME 運営者情報 お客様の声 メルマガ登録 コミュニティ案内 お問い合わせ