より強く弓を押し引きするための足踏み:半丁字の足踏み

 

 

年齢を重ねると、筋力が衰えてくるため、力任せに弓を引くと怪我をする可能性があります。そのため、姿勢を整え、筋肉に負担がない引き方を覚える必要があります。

 

そこで、足踏み動作の詳細を理解することが大切となります。なぜなら、足踏みを正しく踏むことで、胴づくり、弓構えにおける姿勢に無理や負担が軽減されるからです。まずは、上半身に無駄な力みのない姿勢を構築することで、打ち起こし、引き分け動作を行いやすくします。

 

その際に、足踏みの角度は教本第一巻には「60度」と書かれています。この足の開き具合を扇にたとえて古くは「扇の規矩」と説明されます。10本骨の扇を全開せずに、7,8本くらい開くぐらいの角度が足踏みに適していると、昔の人は扇に例えて角度を説明しました。

 

ただ、これ以外に足踏みの方法はあります。古くの弓術書を読むと、「半丁字の足踏み」と呼ばれる足の開きを変えた踏み方もあります。こうした内容を理解することで、次の引き分け動作における、胴づくりの崩れを防ぎ、射癖の改善や技術向上につながります。

 

ここでは、逆ハの字以外の足踏みである「半丁字の足踏み」について解説していきます。

 

半丁字の足踏み

通常の足踏みは、両足さきの角度を60度に踏み開きます。一方、半丁字の足踏みは、左足の角度を広めにし、右足の角度を狭めにします。半丁字の足踏みを行うとき、両足の爪先は的と一直線にそろえるようにします。

半丁字の足踏みは、古くの弓道書籍を見ると、説明として取り上げられている文章があります。例えば、教本二巻の千葉範士、教本三巻の鈴木伊範士は足踏みの説明として、「左足を広く、右足を狭く踏む」半丁字の足踏みの説明があります。

 

さらに、弓道の流派の一つである、尾州竹林派の魚住範士の射法の説明においても、半丁字の足踏みの説明がなされています。魚住範士に限らず、四巻の書についても記載があります。阿波健造の弟子である吉田能安の射法の説明書にも、「足踏みで、強い弓を引く場合は右足を少し狭く踏んだ方が良い」という説明があります。

 

半丁字の足踏みの特徴 1:弓の押し引きがしやすくなる

半丁字の足踏みの特徴として、弓を押し引きしやすくなることが挙げられます。理由は、足踏みの角度を変えたことで、それ以外の関節部の位置が変わるからです。

 

左足を広く踏むことで、60度に踏み開いたときより、左お尻を締める筋肉、背筋が締まります。この筋肉の締りは、的方向に押す力を強化することにつながるため、弓の押し動作がしやすくなります。多くの人たちは、引き分け動作において、左肩が上がってしまい、押し動作ができていない方は左腕の筋肉を強く押そうと考えがちです。このように、強く押そうと考えても、なかなか左肩の上がりを解消することができません。

 

その場合、次のように骨格を整えることで改善ができます。打ち起こしにおいて、左手で弓を握りしめようとせず、左肩を落とします。そして、左足を広く踏んで左お尻、背筋を締めるようにします。

 

すると、弓の荷重がかかったときに左側の胴体にねじれが崩れが少なくなるため、強く押せるようになります。このように、左肩の詰まりや上がりを解消する場合は、左肩自身ではなく、「左足」の角度を変えるようにします。実際には、弓手に力が入ってしまう原因は「右ひじ」の位置も関係していますが、一つの解消法として活用できます。

 

特徴2:右肩が後ろに引けにくくなる

引き分け動作において、弓を引きつけようとすると、右肩の位置がぶれることがあります。この理由として、人の体は右ひじを動かそうとすると、同時に右肩も動くからです。

 

この場合、右足を狭く踏むことで、右肩の後ろに引けるのが防ぐことができます。右足を狭く踏むことで、肩の関節が内側に巻かれるようになります。すると、右足の角度を少しだけ狭くすると、右肘を後方に引きつけやすくなります。

 

左足の角度が広げると左手の押す方向と足の向く方向が近くなります。その結果、左手が押しやすくなります。さらに、角度が広くなると、体の中の背筋が締まります。そのため、体は前後に弱くなりますが、左右に強くなります。

 

一方、右足の角度を狭くすると、右肩が少し体の前方巻くようになります。そのため、引き分けのときに右肩が後ろに逃げにくくなるため、弓を後方にひきつけやすくなります。

 

半丁字の足踏みの注意点

ただ、半丁字の足踏みは一見良いように思いますが、注意点があります。それは、この足踏みを続けると、左腰が外に逃げる構えになってしまうことがあります。

 

このようになってしまうのは、男性女性ともに、お尻を締める筋肉が衰えやすいからです。お尻を締める筋肉が衰えてしまうと、骨盤を立たせることができなくなり、会に置いて、弓を押し開くための力が減少します。この様子を、教本二巻の千葉範士は「老人になると、左肩が伸びなくなってしまうため、この足踏みをとることがある」と説明しています。

 

このような足踏みを取る場合は二つに限られます。一つは、老年になってお尻を締める筋肉が極端に弱くなってしまった場合、もう一つは23kg以上の弓を引く場合です。このような場合、極端に左肩にかかる負担が落ちてしまうため、足の踏み方を変える必要があります。

 

ただ、そうであっても工夫の仕方はいくらでもあります。例えば、「少し弓のkg数を上げて、左脇下の筋肉を鍛える」「お尻の外旋筋を鍛えて、骨盤を立たせる」といった工夫があります。いずれにしても、きちんと弓道の本だけでなく、解剖学などの本も読み、半丁字の足踏みの機能を理解していくことで、弓道上達のために必要なことが見えてきます。

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