適切な胴づくりを構築するための4つの要素

胴づくりで行うべきこと

多くの人が弓道における、姿勢の整え方を学ぶ必要があります。そのためには、弓道における「胴づくり」の内容を理解しなければいけません。

 

まず、足踏みによって、足首、膝関節、股関節の位置、が整います。次に、「骨盤の角度」「背骨の状態」「頭部の位置」なども弓を引く前に正していかなければいけません。教本では、足首〜背骨〜頸椎までの位置を整えることを「縦線」の構成と表現しています。

 

あなたが、弓を無駄な力みなく引き、正確に矢を放つためには、適切な胴づくりの構築の仕方を理解しなければいけません。

 

まず、胴づくりにおいて、行うべきことについて解説します。

 

・アゴを意識的に引いて、首の後ろと背中を上方に伸ばす

 

・肩を耳から垂直に落とすようにする

 

・足裏の重心をやや前方におく

 

アゴを引いて、背中、首を上方に伸ばす

少し、アゴを引いて、首の後ろの筋肉を伸ばすようにします。首の後ろには「後頭下筋」と呼ばれる筋肉があります。背中の筋肉は「脊柱起立筋」があります。

 

少し、顎を引いて頭部の位置を高くするように意識しましょう。これによって、後頭下筋、脊柱起立筋に凝りなく、伸ばすようにします。

 

もしも、頭部の位置が下に下がったとします。すると、背骨のどこかで強い湾曲が起こってしまいます。胸部の背骨が湾曲し、胸が前方に突出しすぎてしまったり、腰で湾曲して、お尻が後ろに突き出た姿勢になったりします。

 

胸やお尻が出すぎると、背筋の張った姿勢になります。背筋が張ると、引き分け以降で、上半身が過剰に力みすぎてしまうため、胴づくりの崩れが起こります。そこで、頭部の位置を高くして、首の後ろを伸ばすようにします。そのときの意識は、「アゴを少し引いて、首の後ろを意識しながら伸ばす」「頭の頂点(百重)を10センチ上に吊り上げるように意識する」ようにします。

 

筋肉の力みを取り去るロルフィングの世界では、このような状態と似た教えで「スカイフック」と説明し、宮本武蔵の五輪の書には、「上半身が頭上につりさげられたる姿勢」とも説明しています。?長く射の稽古を行うに必要な胴づくりです。熱心に研究することが大切です。

 

肩を耳から垂直に落とすように意識する

次に、両肩を楽に落とすようにして、腕の力みを取るようにします。

 

人間には、耳から肩にかけて「僧帽筋」と呼ばれる筋肉があります。この筋肉は肩が上がったり、肩甲骨を寄せたりするときに収縮します。射においては、腕や肩の力みを取り去り、力を抜くようにします。

 

 

なぜなら、射において、胴体の崩れは「胸やお尻の前後の突出」以外に「左右の肩の前後のずれ」があるからです。つまり、身体に適した姿勢をもって弓を引くためには、両肩の崩れも防ぐ必要があります。

 

なお、胴づくりにおいて、両肩と両腰骨と両足首の位置が地面と平行になることを「三十重文字」といいます。弓を左右対称に力を均一にかけていくためには、左右の筋肉の位置、状態が大切となります。

 

なお、弓道教本二巻において、神永範士は「弓道は立禅である」と説明しています。なぜなら、弓道における胴体の据え方と座禅における胴体の据え方が類似しているからです。目安として、胴づくりにおいては、「鼻とおへそが垂直な線にそろう」ようにして、耳と肩の線が垂直なラインにそろうようにします。これは、座禅を組むときの鼻、おへそ、耳、肩の位置関係と同じになります。

足裏が全体に均一につくようにする

次に、首、背中を伸ばす、肩を落とすことを行なったら、足裏の重心の位置を定めます。足裏の重心は、両足の中心よりやや前方に落ち着くようにします。

 

教本二巻の神永範士の説明では、胴づくりにおける重心は「左右の拇指の爪先とその反対側の踵(かかと)を結んだ線の交差点上に落ちるくらいが良い」と説明しています。また、高木範士は、「重心の線が地紙(両足)の中央よりやや前方におちるように」と説明しています。さらに、会や離れにおいて、この重心の位置は前後に移動しないように心がけます。

 

このように、重心の位置を大切にする理由は、足裏の接地面によって、上半身や脚の働く筋肉が異なるからです。

 

例えば、足裏の重心が前方に行きすぎると、太もも裏、背筋の筋肉が張ります。逆に、踵に重心が行き過ぎると、腹部の筋肉が張ります。つまり、重心の位置が前後にずれることで、上半身の筋肉が張り、背骨が前後にずれます。これらの欠点を防ぐことで、射において会、離れにおける胴づくりの崩れを防ぐことができます。

 

このほかに、胴づくりに最中に「矢の裏弭(うらはず)は自分の左膝頭に置く」「物見をする」などが行われます。以上の内容を理解し、きちんと骨組みを形勢した上で、胴づくりの動作が完了します。

胴づくりにおいて他に覚えておきたい用語

さらに、これから弓道を学ぶ人、胴づくりをきちんと理解したい人は以下の用語を理解しておく必要があります。

 

三十重文字

 

胴づくりの正しい体勢。縦軸である脊柱起立筋の線に対して、足踏みの線(体の重心の落ち着く地上線)と腰の線(両腰骨を左右で貫く線)と両肩を左右に貫く線の三つが、それぞれ直角に(十文字)に交わり、上からみるとひずみなく一線に重なった状態。

 

丹田(気海丹田)

 

臍下丹田(せいかたんでん)というに同じであります。気海とは「海の集まるところ」の意で、臍の下3センチ余りのところと言われて、古来呼吸の根ざすところといわれています。これは身体の重心位です。

 

参考文献:現代弓道講座7巻

 

胴づくりにおける参考文献

次に、胴づくりの説明を理解するための文章として、弓道教本一巻〜三巻における説明についてまとめていきます。

 

教本、胴づくり説明
「胴づくり」は「足踏み」を基礎として両脚の上に上体を正しく安静におき、腰を据え、左右の肩を沈め、脊柱および項を真っ直ぐに伸ばし、総体の重心を腰の中央に置き、心気を丹田におさめる動作です。

 

教本各範士の胴づくりの説明まとめ
千葉範士……頭上は天に向かって無限に伸び、下体は地底に無限に徹る気持ち。重心は丹田に乗せる
宇野範士……足踏みの上に脊骨から頸椎を通し、真っ直ぐに伸ばして胴体を安定させる。一般に首がおろそかになる
浦上範士……腹部をわずかに前方に屈し、腰を引いて袴の腰板がピッタリ腰につくようにする(袴腰の準)
神永範士……腰骨の前側面をちょっと上に向けるようにして肛門を閉じ、股の付根を張る
高木範士……頭部、上体、下体の重心線が一直線に足関節に落ちる体勢に加え、背面の筋肉が引っ張られる程度に前  
         方へ少し曲げる

 

この内容は、抜粋であり、正確に理解するには原文を見るのをオススメします。

 

以上の内容を理解することで、胴づくりにおいて行うべきことが明確になります。さらに、他の先生の胴づくりの内容を理解することで、射において基礎となる姿勢を構築できます。毎回の射で実践し、左右対称に大きく弓を押し開くようにしましょう。

 

そして、実際の射においては、「丹田」の内容について理解しておかなければいけません。「下腹に力を入れると、射が失敗する」より、弓道における丹田の内容を正しく理解してみてください。


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