「詰め合い」「伸び合い」の内容についてさらに理解を深める

会における重要な要素として「詰合い」「伸合い」というものがあります。これらの内容は非常に抽象的であるため、勝手に解釈すると、自分の射に悪い影響を与える可能性があります。そのため、自分の稽古に活かすためには、これらの言葉の内容について、深く掘り下げる必要があります。

 

ここでは、「詰合い」「伸合い」の内容について、一流の弓道家の言葉から、もう少し理解を深めていきます。

 

明治以降の弓の達人「吉田能安」先生から「詰合い」「伸合い」を学ぶ
明治時代の弓の達人、吉田能安先生は、詰め合い、伸び合いはこう説明しています。

 

引き取り(引き分け)における弓手の肩根からの押し開き、手の裏(手の内)、勝手の肩の迎えと肘の締めなど、会に入ってもその緊張を緩めず、その働きをしっかりと持続させなければならない。これが詰め合いである。

 

そしてこれと切り離せないのが伸び合いである。伸び合いとは左右水平方向と上下垂直方向への伸び合いも停滞することなく持続していかなければいけない。

 

この文章を借りると詰め合いとは「肩、肘の締まることで起こる緊張を持続させること」伸び合いとは「左右と上下に筋肉を伸ばすこと」になります。

 

引き分けに入ると、体の各部分に弓の荷重がかかります。拳に無用な力がこもっていると、拳に弓の荷重を感じます。肩が必要以上に力んでいると肩の上部に負担がかかります。

 

左拳で的方向に押し続ければ、弓の抵抗力につぶされることなく、「左拳」「左肘」「左肩」は適度に緊張します。変に拳に力が入っていると左肩が集中的に緊張したり、左拳に力が入りすぎていたりします。

 

姿勢が崩れることなく、左拳と右肘で左右対称に弓を押し開きいていけば、手の内は締り、勝手の肘を肩の後ろにしっかり右斜め後方に入っていき、上腕と前腕が締まるようになります。このときに両腕全体に適度な緊張が走り、左右不均衡な押しにならないようにします。これが「詰合い」です。

 

さらに、緊張状態を持続し、弓の抵抗力を受けるためには、両腕を左右に押し合う運動に合わせて、上体の姿勢が崩れないようにい維持する必要があります。しかし、姿勢を保とうとしても、最大限の弓の抵抗力がかかっている状態では、そのまま上体は圧迫されてしまいます。

 

すると、上体が反ったり屈んだりして、脚から首にかけて縦につながる筋肉が硬くなってしまいます。この圧力に対して、姿勢を保持するのためには、形をとどめようとするのではなく、上体の筋肉を上下に伸びるようにします。

 

押手、勝手の横運動に合わせて上体の姿勢の保持のための上下方向に伸びる運動を続けることを「伸合い」と説明しています。

 

詰合い」「伸合い」は結果的になるもの
ただ、このように具体的説明されれば、に会の中で起こっている筋肉や意識の状態を理解することはできます。すると、実際に行うことは「上半身の筋肉を上下に伸ばすこと」「両腕の左右に押し合う運動を続ける」ことを行えばよいのでしょうか。

 

実際に会においてこのように意識すると、逆に体全体が力んでしまう可能性があります。そのため、会に入っていきなり「上下に体を伸ばそう」や「左右にさらに押しあうぞ」と思うことは禁物です。

 

前提として、会は引き分けの矢束いっぱい引ききった状態を指しています。十分引いた姿勢の中を分析すると、「左右の腕で押し合い」「上体が上下方向に伸びる力」が結果的に働いているのであれば、問題ありません。しかし、自分でその状態を作ろうとするとかえって射の構造が壊れる恐れがあります。

 

「左右の腕で押しあおう」と自分で意識すると胸が緊張しやすくなります。「上体をさらに上下方向に伸ばそう」と思ったら今度はアゴが上がりやすくなります。このように、自分でその状態を作ろうとすると、そのために別の筋肉を遣ったり、体の部位に負担をかけなければいけなくなり、結果的に会での左右対称に押しあう力が働かなくなったりします。

 

そのため、「詰合い」「伸合い」は適切に引き分けの動作が行われたら、結果的に起こる物理現象と解釈した方が適切です。

 

必要以上に自分で意識するのではなく、ただただ、右肘を真横に押し、押し手を押していけば、手の内は締り、肩の根に詰めを感じ、右肘も締まってくる。それらが締まるように弓を押し開いていくものと考えた方が良いでしょう。

 

「詰合い」「伸合い」を実現させるためには、起こっている事柄は全て「引き分けが適切に行われれば、起きるものだ」と考えて射を行いましょう。会で余計な体の動きが少なくなり、射形を壊さず、矢を放つことができます。

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