射技を向上させる「押し開く」引き分けを物理的に理解する

引き分けには「体に引き寄せる」ように引くのと、体に割り込ませるように「押し開く」のと2種類の体の使い方があります。射型や射技を向上させるには、「押し開く」引き方を理解することが大切です。

 

ここでは、「引き寄せる」弓の引き方と「押し開く」引き方を物理的に説明して、より動作の内容の理解を深めていきます。

 

弓の抵抗力から、「引く寄せる」動きでかかる癖について考える
引き寄せる運動は、左右の腕を自分の体に近づけるように腕を近付けることです。実際にこの体の使い方で引き分けを行うと以下のような見た目になり、感覚を体験します。

 

・引き分けの軌道が円を描くように丸い軌道になる
右肘の位置が下向きになる
・耳の辺りを通り過ぎると肘がかくっと下に落ちる。
・手首がたぐりやすい
・会で「止まる」感覚があり、そこから右肘を後方に押すことができない
・胸が緊張する

 

これは「円を描くように」「自分の体に引き寄せよう」とすると、自分の体に引き寄せようとする力が働きます(@)。これに対して、弓を引いたときの復元力は弓、弦から自分の体にななめ向きに力が働きます(A)。

 

すると、自分の引く力の向きと弓の復元される力の向きがあわなくなります。そのため、弓の復元力が自分の胸や手首にかかります。これにより、手首が曲がったり肘が後方まで行かなくなります。

 

 

手首に弓の反動力がかかるため、曲がりやすくなぐりやすい射になります。

さらに、肘の引く方向に対して、弓の反動力を常に逆向きに、かつ自分の体の方向に受け続けます。すると、肘が体に寄せやすくなり、さらに後方に押すことができません。これが、「会に入ったとき、そこからさらに後方に押せない」原因です。

 

さらに、大三から目通りの辺りまでは手首や腕の力で弓を体に近付けることはできますが、目通りから、引き分けの最後の位置まで持っていくためには、腕以外に背中や脇周りの筋肉を使わないと肘を動かすことができません。

 

引き寄せる運動では、こういった体の後ろ側の筋肉は働きにくく、むしろ胸周りの筋肉の方が優位に働きます。そのため、弓を引いて目通りを過ぎたら、肘が下向きになって下に落ちていきます。

 

この動きが見る側には「円を描く」ように引いているように見えます。引いている側はとても胸がつらいため、弓を早く離したくなってきます。そのため、早気にもなりやすいです。

 

このように、引き寄せる引き分けを行うと、さまざまな射癖にかかる可能性があります。そのため、より射型や射技を向上させるには、引き分けの軌道や押し方をしっかり理解する必要があります。

 

押し開くように体を使うための力の働かせ方を理解する
次に、射型、射技を向上させるのにてきした引き分けが「押し開く」引き分けです。この動きは次のような特徴を持っています。

 

押し開く引き分け
右肘がななめに入る
・肘、肩に負担がほとんどない
・大きく開くため、離れはほぼゆるまない、矢勢もよい
・会が長くなりやすい

 

「押し開く」運動は左拳、右肘ともにななめ前方に押すように力を働かせます。

 

そのように押して行くと弓の復元力がかかります。しかし、押し力と弓の復元力は互いに向きが違うため、そのまま押して行けば力の均衡が保たれます。

 

この状態で押し続ければ、手首や胸に弓の抵抗力による負担がかかりません。そのため腕動きが制約されることなく、左拳と肘をななめ方向に押し続けることができます。

 

このように、押し開く動きは常に弓の抵抗力と同じ角度に力をかけるため、体の負担が少ないです。そのまま押して行けば、さらに弓を体の中に割り込ませることができます。実感としては胸周りが広がる感じが出ます。

 

 

ただ「左拳」「右肘」をななめに押し続けることで弓は開いていきます。自分で口割を合わせたり体に寄せようとしたりせず、押して行けば、左拳と右肘は自然と直線に向いてきます。

 

引き分けてきて矢が耳元あたりまで来たら、右肘が勝手に下がってきます。下がってきてもそのまま右肘を裏的方向に押し続けるようにしましょう。すると、右肘は後方に入っていきます。

 

このように、押し開く引き分けは、物理的に考えても理にかなった方法と言えます。射技をさらに向上させるには、押し開く引き分けを意識して、稽古に取り入れてみましょう。

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