理論弓道

弓を引く技術を高めるには「シンプル」にすること

世の中には、さまざまな弓道の勉強の仕方があります。例えば、射型の細部まで完成型にこだわって勉強することもあれば、ひとつひとつ目標を立てて弓道の引き方を学ぶすることもあれば、放任主義で自分で考えて弓を稽古することもあります。

 

こうした弓道の勉強の仕方のうち、実際に技術を向上させるには共通点があります。それは、弓の引き方自体が非常にシンプルであることです。そのため、実際に弓を引く場合には、細かいところにとらわれずシンプルな思考で弓を引く必要があります。

 

そこで、「弓を引く動作がシンプルであるほど引きやすい理由」と「自分の弓の引き方をシンプルにする方法」について解説していきます。
 
 弓の引き方をシンプルにするほど、引きやすい理由
基本的に、複雑に考えるほど弓で適切に引くのは困難です。具体的には、「手の内で〇〇のように指を整えれば、角見が効いて当たりやすい」「右手首をひねった方が弦がしっかりかかる」「取り懸けで指先近くに取り懸ける、こうすれば少し指の力を抜いただけで離れ、親指がはじかれるようになる」などです。

 

このように、複雑に考えるほど、弓は引けなくなり、矢は飛ばなくなります。なぜなら、弓を引くとき、上記のようにあらゆる関節や筋肉を複雑に動かそうとするだけ、多大な労力と力みがかかるからです。

 

例えば、上記に述べた内容を含め、弓の引き方において細部にわたり気にかけて射を行ったとします。

 

例)
・胴づくりで下っ腹を張る
・手の内は指を整える、取り懸けは指先近くにかけ、右手首をひねる
・打ち起こしで両肩が上がらないように
・大三で矢が水平になるように  など

 

これらの型をひとつずつ知識としても学ぶのではあれば、問題ありません。しかし、このようにいろんな意識を持って実際に弓を引こうとすると、その分だけあらゆる箇所に気にかけなければいけません。

 

これにより、ミスが起こりやすくなったり、力みが起こりやすくなります。さらに、学んだ知識が間違えてとらえていたら、それを調べるのにも時間がかかります。このように複数の要因が重なることで、実際に弓を引いて的に中てるまでに多くの時間がかかります。それに加えて、弓を引く事自体が非常に困難になります。

 

このように、弓を引くときの意識や行うことを複雑にするほど、実際に稽古をすることが困難になります。その一方で、シンプルな弓を引く場合は、簡単に成果を出すことができます。

 

非常にシンプルな弓の引き方として、「教本二巻の神永範士の弓の引き方」があげられます。まず、神永範士の弓の引き方の文章を読んでみましょう。すると、「肩甲骨の前方を開く」「脇腹の皮を引っ張られるように」といった言葉が弓の説明に多用されます。さらに、高年になったときの打ち起こしの説明でも「上腕の骨(前膊)を高くする」と説明しています。

 

これは、神永範士は弓を引くときに「脇下周りの筋肉を活用して弓を引くこと」を一貫されていたことがわかります。さらに、引き分けの動作の文章を読むと、脇下周りの筋肉を活用するために、「右の上腕の筋肉の弾力性を保持し」「左腕は突っ張らせず、柔らかさを保持する」という言葉が記載されています。

 

そのため、神永範士の弓の引き方を学ぶ場合、先に弓における手先や肘の位置、両肩の位置を気にするのと異なり、形に合わせようとしたり、変に力ませようとする必要ありません。それに加えて、打ち起こしから引き分けにおいて同じ筋肉を使い続けるために、変に指、手首、肩に負担が来ることもありません。

 

さらに、腕の表側や胸の筋肉には力をかけることはありません。このように、古くの弓道家が実践していた弓の引き方は、八節の細部の形や外形にこだわる弓の引き方に比べて非常にシンプルです。そして、シンプルな弓の引き方であるほど、無駄な力みがないために引きやすく、射癖がつきづらい傾向にあります。

 

 自分の弓の引き方をシンプルにする方法
たとえ自分の弓の引き方が複雑で、余計なことを考えていまったとしても、それをシンプルなものに転換することができれば、比較的簡単に射癖を抜けだしたり、技術を向上させることが可能になります。

 

先ほどの例でいえば、手の内、取り懸けの指の整え方から、手首のひねりまで一切やめて、最も弓が引きやすく押しやすい指の整え方にします。それが、手の内であれば、「固く握りすぎないようにし、小指を締める」ことや「取り懸けで指先にかけるのではなく、少し深めに取り懸け、小指をしめる」ことになります。

 

そして、無駄な力みを発生させないために、変にひねったり、力ませることをやめます。さらに、打ち起こしにおいて、変に形にとらわれて腕を動かすと力みが発生してしまうので、両手で軽く弓を握って、すくいあげるように打ち起こします。

 

このように手の内、取り懸けでひねったり、指先に力がかからないようになり、腕への力みが軽減されます。このように、弓の引き方を変えていくことで、無駄に力んでいた筋肉を全て「弓を押し開く」ときに活用できます。すると、変に力まないで弓が引けるようになります。

 

つまり、あなたが今行っている弓の引くときに意識されていた内容を、弓を押し開くのと関係しない部分を注目します。そこで、余計な力みや意識がいきそうなものを見つけて全てなくしていくのです。そうすることで、弓の引き方が複雑だった頃に比べて、簡単に引きやすく、無駄な力みをなくすことが可能になります。

 

このように、弓の引き方で引きやすく、射癖がかかりにくいようにするためには、なるべくシンプルな弓の引き方に変えていく必要があります。それを行うことで、的中の数をさらに増やすことができるようになります。もし、弓の引き方に取り組もうとしている場合には、「神永範士の実践される弓の引き方」を一読し、参考にするようにしてみてください。

 

先ほど述べたように、神永範士の弓の引き方では、弓構えから引き分けまで、同じ筋肉を意識しています。それに加えて、他の部位の無駄な力みはほとんどありません。つまり、腕や指先の力みを最大限にとり、脇下の筋肉を活用した弓の引き方が引きやすく、無駄な力みが少ない上に、非常に的中の数も多い弓の引き方となっています。

 

そのため、弓の引き方を勉強する場合には、ぜひとも古くの弓道家の弓の引き方を参考にするようにしてみてください。ちなみに、当サイトで行われる練習会では、神永範士の文章を元に、弓の引き方を皆で勉強して、稽古を行います。

 

年齢60歳を越えた主婦が、今まで12kg程度の弓しか引けなかった人が17kgまで弓力を上げられるまでに成長した弓の引き方を体感をしたいというセンスある人は練習会へお越しください。

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