理論弓道

弓道の実力を高める「防衛体力」を理解する

体の不調に悩んでいる人に健康を身につけるための方法として運動が挙げられます。近年では、あらゆる運動ができる環境が揃い、手軽に運動できるようになりました。

 

筋トレを行う器具、スポーツジム、体育館、これらは体を動かすために適した環境と言えます。 あなたが行っている武道においては、これらの器具や道具は体作りに役立てることができます。

 

ただ、こういった施設は利用料がかかってしまいます。団体で行うスポーツであれば、人が集まらなければ満足に行うことができません。

 

一方、一人でもできるような運動であれば、毎日体を鍛えることができます。一人でどんどん体を動かし、積極的に運動することは、健康な体を身につけるために大切です。そして、健康な体を身につけることは、弓道を継続的に稽古することにつながります。

 

ただ、運動といってもランニングのような激しく体力を使うものを行なう必要はありません。そういったことを行わなくても簡単に体を動かすことができます。

 

ここでは、簡単に体を使って健康を身につけるための方法を解説していきます。

 

 少し厳しい環境に身を置くだけで体は使われる
運動やスポーツなどで、頭で考えて動かなくても、自然と体を動かす方法があります。それは、今自分の置かれている環境を少し厳しくするだけです。

 

例えば、外が寒かったり暑かったりしたとき、多くの人は部屋の中で過ごそうとします。ここで、部屋にとどまるのではなく、外に数時間でいいので出てみましょう。

 

つまり、自分にとって厳しめの環境に身を移すのです。

 

冬に車を使って買い物に出かけているのなら、自転車を使うようにします。エアコンを使って、部屋に過ごしているのなら、今すぐリモコンで停止させて、自分で温めて過ごすようにします。

 

このように、寒い場所に出ると体が冷えてしまい、考えなくても動きたくなります。 そうして、自然の厳しい環境に出れば、自分で考えなくても動こうと考えます。

 

さらに寒さに耐えることは、我慢強さが身に付きます。暑い場所であれば、汗をだらだら流して自分の体調を気にしながら運動を行います。さらに、散歩したり走ったりするると、体力が消耗します。すると、日陰を探して休みたくなります。

 

ずっと日なたにいたら、体は暑さにやられてしまいます。すると、自分の体の状態をしっかり把握しようと意識しだします。そうして、毎日少しだけ自分にとって厳しい場所に身を置きましょう。

 

すると、自然と体を使い、エネルギーを消耗します。これによって、頭でダイエットしようとか考えなくても
自然と体は痩せてきます。体の不調で困っている人であれば、毎日体を最大限に使い、ぐっすり眠れるようになります。武道であれば、精神力や実力の向上が期待されます。

 

少しだけ、温度、湿度が厳しい環境に身体を置くだけです。昔の人のように、便利機器に頼っていた部分をなくすだけで、あなたの体はしっかりと使われます。

 

 頭で考えず、すぐに動くに注力を注ぐ
人には2種類の体の動きがあります。それは、「頭で考え、意識的に行った動き」と「無意識の動き」です。この中で、健康な体を身につけるために必要なのは「無意識な動き」です。

 

つまり、「健康のため」「ダイエットのため」と頭で理屈づけて体を動かすのではなく、感覚的にすぐに動くのです。このような無意識な動きを体験する簡単な方法が外的な環境が厳しい場所に行くことです。

 

すると、頭で考えるのではなく、自然と体が動きます。 体の不調を改善するため、心することは大切です。

 

「ストレス発散で運動する」「運動不足解消」といった、意識的に行った動きは運動のとっかかりをつかむのに優れた動きと言えますただ、頭で理由をつけて運動することは欠点があります。

 

それは、モチベーションが長続きしないことです。

 

例えば、健康のために運動しようと思ってランニングしようと決めたとします。そうして決めた次の日に雨が降ったとします。地面を見ると、水たまりがたくさんあり、足を滑らす危険があります。このときに、あなたはランニングシューズに履き替えて、外に出ようと思うでしょうか。

 

頭で考えて動く人は「雨でぬれるのは嫌だ」「足を滑らすのが嫌だ」と先に思ってしまいます。すると、健康のためと思っても、上記のようなデメリットが頭の中に入ってしまうため、体を動かす気力がなくなってしまいます。

 

その結果、運動しようとしなくなります。さらに、こうしたデメリットは状況によって様々なものがあります。

 

例えば、仕事が長引いてしまい、運動できる時間が少なくなったとします。すると、「少ない時間に体を動かしてもあまりトレーニング効果が出ないのでは」と考えてしまいます。すると、運動を控えてしまいます。

 

もし、あなたが頭で考えて理由をつけてトレーニングをしていると、少し事態が変わった瞬間に何もできなくなる可能性があります。すると、実力が伸びなくなる可能性があります。そうではなく、実力を伸ばしたいのであれば、無意識に考えずに動くことが大切であると言えます。

 

スポーツ科学では、体力には行動体力と、防衛体力の2種類があります。

 

行動体力は頭で考えて行動する体力であり、防衛体力は外的環境に対する抵抗力をあらわします。この中でスポーツ選手を含め、多くの人が欠けている体力が防衛体力です。

 

防衛体力は器具や道具で鍛えるには少し工夫がいります。さらに、人は歳を重ねるごとに、厳しい環境を避けて、保守的になろうとします。

 

そのように、行動を制御してしまうと、体は動かなくなり、老化や体力低下につながってしまいます。普段の生活では、運動しにくい環境の方が数多くあります。そのため、頭で考えて動こうとすると、想定外の厳しい環境に対応できなくなります。

 

その結果、体をどんどん動かさなくなり、健康状態が悪くなってしまいます。

 

これが、無意識に体を動かせる人なら違う考え方で体を動かします。

 

例えば、雨の日には「ちょっと試しに走ってみようかな」と思い、外に出ます。

 

すると、走っている最中に自然と雨の降る環境に適応しながら走ることができるようになります。

 

「水たまりにあえて足を突っ込んだ方が靴の中はぬれにくい」「雨の中だと呼吸がしやすくなるから走りやすい」
といったこと走る中で感じるようになります。

 

このように、どのような事態でもポジティブに考え、行動できる人は「防衛体力」が高いです。そして、弓道を長く、着実上達したいのであれば、防衛体力を高めていく必要があります。もしも、あなたが防衛体力が少なく、何かしら理由をつけて、稽古をしているのであれば、弓の実力が下がる可能性があることを理解しておく必要があります。

 

そして、弓道の場合、上記に述べたような厳しい環境は「弓の強さ」です。弓の強さは20kgを超えると、筋力で引くのが厳しくなってきます。そこからさらに強い弓を引くためには、筋肉や関節の使い方、解釈の転換を行わないといけません。

 

例えば、多くの人は、腕の力を使った方が強く押せると考えます。しかし、実際に腕が使える力は微々たるものです。そこで、腕には何も力を入れません。

 

弓の荷重がかかり始めたら弓は抵抗力で元に戻ろうという力が働きます。このときに、自分から握ったり力を入れようとすると、弓の荷重が手先にかかり、弓を押すことができなくなります。

 

そこで、意識としては「弓が手の中にいつか入ってくるから、それに任せればいい」と思いこむのです。つまり、左拳の動かし方にとらわれをなくすのです。すると、左手に弓がぴったりとつき、強く押すことができます。

 

明治時代の弓の達人である本多利実氏の弓術書を見ると、「弓の力を受け請ける気持ちが大切である」という言葉を残しています。

 

弓を「押す」とはどういうことかをあらゆる角度で考えるのです。

 

そして、自分で思いついたことを射で実践し、その体の働きが正しいか弓で判断していかなくてはいけません。

 

弓は20kgを超えると、常に成りが変わります。

 

弓の上部や下部の構造が変わるため、日々、修正をかけていかなくてはいけません。さらに、立った瞬間の体の力みで
ほぼ勝負が決まります。

 

この瞬間の自分の意識と、関節のはめ合いが決まらないと打ち起こし以後で弓の圧力に負けてしまいます。

 

そのため、武道では最初の構えが大切です。

 

空手の世界で達人と言われた柳川正弘氏も最初の構えで全身の筋肉を瞬間的に働かせる姿勢を体得し、眼が見えない状態から、あらゆる巨漢を投げ倒してきました。

 

そのくらい、武道において最初の構えは重要とされます。

 

そのためには、頭でごちゃごちゃ考えるのではなく、少し厳しい環境に身を置き、自分の眠っている可能性が呼び覚ます必要があります。

 

厳しい環境に置かれたときに、人はやろうという気持ちが誘発され、今までできなかった動きをできるようになります。

 

頭で考えて動こうとしてしまうと、ちょっと自分の想像外のことが起こったら、モチベーションが下がってしまいます。

 

そのために、自分の暮らす環境を少し厳しくしてみましょう。例えば、外に出て寒さや暑さに身をおいてみます。このときは自分の耐えられる限りの時間や程度から始めて問題ありません。

 

そういって、少しずつ外に出たり、無意識に体を動かしていきましょう。継続的に続けていけば、確実に体の不調は改善されていきます。武道の実力を伸ばしたり、自分の能力を落とさないためには、今より少し厳しい環境に身をおいて、「防衛体力」を高めることを理解しなくてはいけません。

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