言われたことを真に受けて陥る胴づくりの射癖:下っ腹

教本や弓道本を開くと、胴づくりの説明でいろんな表現をされています。勉強熱心の人はこの言葉や文章を取り入れ、射に実践しようとします。

 

しかし、その言葉をまったくそのままに受け入れることで、射の実力が下がる可能性があります。理由は、言葉の受け取り方を間違えたために、弓を引く姿勢が変わってしまうからです。

 

ここでは、説明文をそのまま受け取ると射に悪影響を及ぼす胴造りでの言葉を紹介していきます。

 

 「下っ腹に意識をこめる」はそのまま取り入れようとするとまずい
胴づくりの説明文を見ると、次のような言葉が書かれています。

 

 下腹に意識をこめよう

 腰を入れる

 へそをつり上げるように

 

これらは全て弓構えに入る前の姿勢を説明したものです。このように「下っ腹」や「腰」など体の一部分を指す言葉が書かれていると、読み手はその部分を意識したり、力を入れようとします。

 

例えば、下っ腹に意識を込めると言われると、ちょっと体を前屈みにします。そうして、下っ腹を体重を乗せ、少し圧迫させたように立ちます。あるいは、腰を入れてと言われると、腰を前に突き出すようにします。これにより、腰が前に入るように動かすことができます。

 

弓を引く際には、どこにも負担のない姿勢を取るのが大切です。このように、体の一部分だけを気にして動かしてしまうとかえって射に悪い影響を及ぼします。

 

具体的には、胴づくりの段階で下っ腹を意識させると「早気」になりやすくなります。

 「下っ腹」という言葉を真に受けると下半身が緊張しすぎてしまう 
武道の世界で下っ腹は「丹田」とも呼ばれており、とても大切で、重要であるイメージがあります。そのため、下っ腹に意識を置くとか、気力を充実させるとかは弓道の本を読むとよく出てくる言葉です。

 

しかし、この文章だけ読むとかえって悪い胴造りを取ることがあります。
なぜなら、下っ腹を意識すると、下半身が緊張しすぎるからです。

 

弓道をやっている人の99、9パーセントが袴を着ます。そして、この袴を着るときに「帯」を巻きます。この帯を巻くと言うのは、股関節周りの筋肉を引きしめ、腰や背中の姿勢を整えるという役目があります。

 

その状態で下っ腹周辺を意識しようとして、体を傾けて圧迫させようとすると、骨盤周りの筋肉がさらに緊張度を増します。その結果、下半身全体の筋肉が硬直します。

 

この下半身の筋肉の緊張により、体の前側から胸の筋肉が固くなってしまいます。すると、射において気持ちが落ち着かなくなり、早気になってしまいます。他には、離れがゆるみやすい、たぐりやすくなるといった他の病癖にもかかりやすくなります。

 

確かに、下っ腹を意識すると下半身がしっかりする感じはあります。そして、最初の10〜20本はどっしりした姿勢を感じながら引くことができます。しかし、長く続けると疲労感がすぐに来て、脚の一部に痛みや負担が来るのがわかります。

 

これは、学生弓道、大学の弓道でよく言われ、そして陥りやすい射癖の陥り方です。

 

胴づくりのときに「丹田を意識して〜」と先輩、経験者に言われ、おへそ周りをグーで押されたり、棒でつつかれたりして、これにより、下半身に力を入れるクセを作ってしまい、早気になってしまうのです。

 

 「下っ腹を意識する」の本当の意味を理解しよう

そのため、ここで、下っ腹を意識するの本当の意味を理解しましょう。大部分の人は、下っ腹と言われると、おへそを思い浮かべます。つまり、体の表面を意識しようと考えます。

 

しかし、丹田とは実際には臍周りではなく、臍下8センチ下の場所からさらに8,9センチ程度体の中の周りをさすものです。つまり、イメージでいうと、背骨の一番下の骨より少し体の中にあたります。

 

そのため、丹田を意識するとはへその表面ではなく、へそと背骨の一番下(仙骨)の間に集中を高めることを指します。このためには、上半身の無駄な力みを抜きましょう。そして、上体の重みを腰の真ん中、体の中に落とすようにします。
 
すると、立っている姿勢が下っ腹を意識して立っていたときより、楽に立てることがわかります。余計な力みや意識もなく、のびのびとした気持ちで弓を引くことができます。
 
余計な意識を捨てて、上半身の重みを腰の中央に乗せるようにしましょう。それだけで、立つ姿勢が楽になります。その結果、下っ腹を意識しすぎて、下半身を固くさせずに済みます。

//

講習会でのお客様の声

お客様の声

メルマガ登録

稽古会案内

書籍案内

関連ページ

射癖を直すのには条件がある@〜的中を捨てる〜
射癖を直すための心構えを説明していきます。
射癖を直すのには条件があるA〜型を捨てる〜
射法、射技、作法、弓に関する様々な情報をまとめていきます。お役にたてれば幸いです。
足踏みが狭すぎると両肩がずれやすくなる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
しっかりした足踏みの角度を踏まないと〇〇が悪くなる
通用の足踏みの角度(60度)より広い踏み方、狭い踏み方について説明していきます。
適切な足踏みを自分で見つける方法
言われたことを真に受けると生じる胴づくりの射癖
胴づくり、姿勢の直し方を説明しています。
「両肩のズレ」「上体の反り、屈み」を直し、負担のない胴づくりを身につける
胴づくり、姿勢の直し方を太っている人、やせている人の場合に分けて説明していきます。
適切な胴づくりを心がけるための三つのポイント
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
取り懸けでの指の位置を間違うと、早気やゆるみ離れになる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
天文筋に弓を当てると、左の押し手の力を弱めてしまう
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
正面紅葉重ねの手の内で左拳の握りすぎる癖を解消する
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
打ち起こしが低くなるとあらゆる射癖にかかる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
打ち起こしで肩を下げようとすると射の構造が壊れる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
大三での「手首の曲がり」「ひき肩」「鳥打ち」の直し方
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
引き分けでの「手首のたぐりすぎ」「左腕の突っ張り」の解消法
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
引き分けでの「頬付」「右肘の不正」「両肩のズレ」の直し方
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
これをやれば改善に向かう早気の直し方1
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
これをやれば改善に向かう早気の直し方2
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
前離れ、ゆるみ離れの直し方
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
はばたく離れ、すくい離れの直し方
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
離れの射癖で一番なって危険な射癖
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
明日からできる簡単クセ矯正術〜ゆるみ離れ〜
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
明日からできる簡単癖矯正術〜手首の曲がり〜
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
足踏みが広すぎると早気になる可能性が上がる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
手の内での拳の角度がずれると、大三の動作が悪くなる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
弓構えで拳の位置を間違えると、胴づくりが崩れる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。
弓構えで肩の位置が揃うと上半身が力みやすくなる
射法で出てくるさまざまな癖の克服方法、直し方をまとめました。 各部分の射癖を直すことで、より体の負担のかからない弓の引き方、的中率向上、癖の再発防止をすることにつながります。

HOME 運営者情報 お客様の声 メルマガ登録 コミュニティ案内 お問い合わせ