言われたことを真に受けると陥る胴づくりの射癖:腰を入れる

教本や弓道本を開くと、胴づくりの説明でいろんな表現をされています。勉強熱心の人はこの言葉や文章を取り入れ、射に実践しようとします。

 

しかし、その言葉をまったくそのままに受け入れることで、射の実力が下がる可能性があります。理由は、言葉の受け取り方を間違えたために、弓を引く姿勢が変わってしまうからです。

 

ここでは、説明文をそのまま受け取ると射に悪影響を及ぼす胴造りでの言葉を紹介していきます。

 
「腰を入れる」はそのまま取り入れようとするとまずい

胴づくりの説明文を見ると、次のような言葉が書かれています。

 

 腰を入れる

 

これらは全て弓構えに入る前の姿勢を説明したものです。このように「下っ腹」や「腰」など体の一部分を指す言葉が書かれていると、読み手はその部分を意識したり、力を入れようとします。

 

例えば、腰を入れてと言われると、腰を前に突き出すようにします。これにより、腰が前に入るように動かすことができます。

 

弓を引く際には、どこにも負担のない姿勢を取るのが大切です。このように、体の一部分だけを気にして動かしてしまうとかえって射に悪い影響を及ぼします。

 

 腰を入れると首の筋肉が固くなる
腰を入れよと、腰回りの筋肉を突き出すことでも実は問題が起こります。それは、腰を入れると、物見が照りやすくなります。

 

その理由は腰を入れようと前に突き出そうとすると首の筋肉が固くなるからです。
 
腰回りの筋肉は帯をしめたときに適度に締められています。その状態で腰を前に動かしたり、ひねったりすると腰回りの筋肉が固くなってしまいます。腰の緊張は背骨につながり、最終的に首の筋肉につながります。

 

物見をするとき、顔の右側、左側で筋肉の伸びやひねり具合が違います。物見をしているときは、左側の筋肉が少し縮んでいる状態です。

 

腰を入れて首の筋肉が固くなると、ちょうど左の筋肉が固くなり、左右でバランスが変わり、物見が照ります。そして、物見が照ると、耳の傾き具合が変わり、平衡感覚の機能を持つ三半規管がうまく機能しなくなります。

 

そうするとねらい目が変わったり、狙い通りに的づけがしにくくなります。特に物見が照ることが多いです。他にも、腰を前に入れすぎると、姿勢が前傾しすぎてみぞおちで体の姿勢が曲がりやすくなります。そのため、引き分けで肘の納まりや張りが悪くなり、前離れやゆるみ離れなどの合併癖が起こる人もいます。

 

 大きく引けば腰が入った姿勢になることを理解しよう
そのため、胴づくりで腰が入った姿勢を取ることは良いことはありません。むしろ、胴づくりでは上半身の力を抜いて腰をまっすぐに立てるようにします。これにより、両肘、両脚に余計な緊張がなくなり、弓の抵抗力に適切に働くようになります。

 

では、射において腰の入った姿勢を取るにはどうすればよいのでしょうか。その答えはとにかく肘を深く後方に引きこみ、大きく弓を引くことです。

 

大きく弓を引いて、肘が深く体の後方に収まれば、矢の線と自分の両肩の線が近くなります。これをできるだけ近づければ必然的に弓を引いている姿勢が腰が入っているように見えます。

 

腰を入れるとは、自分で腰を動かすのではなく、弓と腰との距離を近づけることです。いっぱい引いて、腕の裏側と脇周りの筋肉を最大限に働かせましょう。体の中に弓が深く割り込み、腰と近くなります。すると、自分で何もやらなくても「腰の入った」胴づくりになります。

 

「腰を入れる」という言葉に刺激されて腰だけ動かしてしまうと、背中と首の筋肉が固くなってしまいます。そのため、上半身の力を抜いて、大きく深く弓を引きましょう。すると、弓と腰が近づき、結果的に「腰の入った」姿勢を実現させることができます。

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