小笠原流、射における全体の注意

以上より、射一筋の全体の流れはわかりましたが、次に全体に関する注意をまとめます。いずれも、小笠原流歩車の内容をまとめたものです。

 

・五重
「会」「手の裏」「左肩」「右肘」「腰」の五か所をとくに大切にし、月をかさね、味を重ねて、射を心がけるべきです。

 

・総体の弱小
いくら強弓を引くものであっても、弓と身の力が一致せず矢芸の弱いものは弱弓であり、弓を弱いものを用いても修行によって矢芸強ければこれを強弓ということになります。

 

初心の間はむやみに強い弓を引かずに自分の力に適した弓を選んだほうが良いです。

 

・三志
矢一筋射る中に三つの肝要の注意があり、第一に弓矢を持って的に向かうとき、礼儀、態度、気合いを乱さぬこと。

 

第二に引きこんで矩に違うことなく、よくよく詰まること、第三は離れのさっと切れるまで十分の延びを志すということ。

 

弓の引き始めでまず、目につくのが「中り」と「弓返り」です。この二つは誰でも自分のものにしたいと思うものです。

 

このため、本式の稽古で我流を出してしまい、取り返しのつかない邪道に入ってしまうことになります。

 

しかし、その我流でも当たってしまう場合があり、弓のクセを直すのに一番良い時期は中りのなくなったときですが、目先の的中にこだわってしまい、なかなか直そうとしません。

 

左手が弱い射手は左手を強くするしか方法がないのに、目先の的中にこだわって、右手も弱めて左右つりあいをとろうとします。そうすると的中はしますが、もう欠点を直すことはできません。

 

・「三業」
的中には「中矢」、「矢早」、「抜矢」とあり、「良く中ること」「矢つぎ早のこと」「貫徹力のあること」を要求しています。

 

弓は中てる道具であり、中らぬ弓は何にもなりませんが、その中りを求めるのに正しい方法で求めなければいけません。

・鞍心(あんしん)
これは馬術からとったもので、心をゆったりと持ち、筋骨を伸びやかにし、気高くして、詰め所をよくして、常に腰がゆるがないようにと教えられています。弓でも同じ態度を心がけるべきです。

・「力をつける」
まずだんだんに強い弓を肩に入れて射習い、自分の腕の力をつけていくこと、また修行の功を積んで射芸全体に力をつけること。

そして、日常心身の保養につとめて、身に力をつけ、魂に力をつけて立派な射手になるように目指すこと。

・「息合い」「息込み」「長短息(ちょうたんのいき)」
息のしかたは各人の生得にしたがって平生のように息をせよということです。

呼吸の仕方は様々で、打ち起こしで吸って離れで吐く人もいれば、打ち起こしですって引き分けの手前で少し吐き出し、離れでぱっと出す人もいます。

それは、各人で研究し、自分にあった息を手に入れることが大切です。初心者の方は打ち起こしで十分吸った息を「引き取り」に移る前で少々吐き出し、離れに至って吐くのがよいと考えます。


いろんな考えがありますが、どれか一つ稽古をするときに心がけて、弓道における心の持ち方や技を考えてみると実力アップにつながります。

弓道は名を遺した達人はみな「無技の射」を実行した人たちであります。

無技の射とは最初は技を学び、射芸を上げて、最終的に自己の内観的動作に眼を向けるようになり、「技」を抜け出した個性の射をしたものです。一日も多く弓道を稽古して、少しでも無我の射に近づくように日々修行することが大切です。

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