「打ち起こし」での呼吸の仕方

打ち起こしは、弓を上に持ち上げる動作であり、いよいよ射の活動に移る重大な機に来ています。適切に打ち起こしを行うには、弓の打ち上げ方以外に呼吸が大切です。

 

ここでは、範士の先生の説明から、打ち起こしにおける適切な呼吸の仕方を解説していきます。

 

 上げるときに息を吸ってそこから吐かない
弓を上げるときに息を吸います。打ち起こし以後は呼吸を止めたままで引き分けていきます。

 

胴造りで上半身の力みをとって、上体の重みを下半身で受けた姿勢を取れば、打ち起こしで息を吸ったときにお腹周りに空気が入ります。下っ腹付近に刺激が来るのがわかります。

 

ここで、息を吐いてしまうと下っ腹回りに入った息が出ていってしまいます。すると、その影響で姿勢や上半身の力が抜けてしまう可能性があります。そのため、吸った息をなるべく吐かないように引き分けていきます。

 

「打ち起こし」以後は、呼吸をしないよう(息がこぼれる程度ならよい)に心懸ける。呼吸をするとそのたびに全身のつりあい、緊張した調和に破たんが生じ、真の自慢が得られない〜高木範士〜

 

「弓構え」で息を吐いて空にして響き、打ち起こししつつ軽くすい、上がりきって弓が止まるのといっしょに息を止める。息を止めたままで三分の二引き〜浦上範士〜

 

 呼吸は平静で、たくさん吸ったり吐いたりしない。
次に、呼吸のタイミングではなく、動作中に取り入れる量を理解していきます。そこで大切になってくるのが「小さく細く」呼吸することです。打ち起こしでは、なるべく呼吸を深くやりすぎないように心がけます。

 

その理由は呼吸を深くしすぎると、肺周りの筋肉が動きすぎます。静かに弓を上げて、引いていきたいのに、「スゥー、ハァー」とやるとやりずらくなってしまいます。弓を引くときは針に糸を通すように静かな気持ちと静かな呼吸が引くのに適しています。

 

打ち起こしの際、気息は十分に整える。〜千葉範士〜
 
息合いは普通平静を可とする〜宇野範士〜
 
特別に強く吸引すると、助間筋や横隔膜などの呼吸補助筋が働きすぎて凝りを生じ、射の動作の円滑を欠いたり、息が詰まったり、また力むことになる。〜高木範士〜

 

打ち起こし」のときは普通よりやや余分に吸引されているから、この自然に吸入された状態で、胸腔内の圧力は全身の緊張と同調することができるのである。〜高木範士〜
 
 あまり意識しないように心がけるのも大切
このように、打ち起こしでは、呼吸を小さく行い、引き分けではなるべく吐かない方が、弓の押し開く動作に影響を及ぼしにくくなります。

 

だ、別の弓道の本には、違う呼吸を実践している射手もいます。例えば、吉田能安氏は上に上げ切ったときに少し吐いて、大三で少し吸って、引き分けで吐くように説明しています。

 

あるいは、呼吸を意識するばかりに、弓を引く動作に意識できない人もいます。呼吸は普段意識して行う動作ではないため、いざ呼吸を意識するとかえって動作に囚われてしまうのです。

 

息を止めようと意識しすぎて会で息を止め、苦しそうになる人はこれに当たります。

 

そうした場合は、あまり気にしないのも重要です。呼吸は人や射によって変わるため、これが適切な呼吸と決めつけてしまうとかえってやりずらくなります。そのため、完全に止めてしまうのが苦しいならチョロチョロ吸ったり吐いたりして、自分の自然のままに任せるようにします。

 

このように、打ち起こしでは呼吸とともに動作を行うことで、負担なく弓を押し開くことができます。打ち起こし以降、息を腹の中に収めたり、小さく細く吐くことで、射に影響なく呼吸を行うことができます。

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